兵庫県住宅供給公社(神戸市/以下・公社)、武庫川女子大学(兵庫県西宮市)、芦屋浜自治連合会(兵庫県芦屋市)は2016年より、芦屋浜高層団地の再生と地域コミュニティ創生を目指す「またあしたプロジェクト」に取り組んでいる。コロナ禍でも地域コミュニティを持続させるべく、学生のアイデアで〝非接触型〞イベントや住民とのワークショップを開催している。

 

 

デザインを提案する学生

 

 

集会所リノベプロジェクト

プロジェクトは、「いつも誰かがそばにいてくれる多世代交流」というテーマで様々な世代が集まる場づくりを行うもの。
「少子高齢化が進み、空き住戸の増加や地域活力の低下が懸念される中、地域コミュニティの活性化を目指し武庫川女子大学や自治会との連携を決めた」と公社の藤谷高大経営戦略室課長は言う。

 

同プロジェクトは、「団地集会所のリノベーション」「集会所を拠点とした地域コミュニティの活性化」という2段階構成をとる。
1段階目では、大学の生活環境学部で建築学を専攻する学生が集会所の内装をデザインした。約50平米の空間に集会室やキッチンなどを備え、2000冊に及ぶ絵本を収納する本棚も設置した。自然素材を利用したバリアフリー構造となっている。

 

内装については、ワークショップを開き地域住民と検討を重ねたという。地域の子どもたちと壁のペイントなども行った。「リノベーションの過程自体もイベントにしようと考えた」と武庫川女子大学の鎌田誠史准教授。

 

 

武庫川女子大学
生活環境学部
鎌田誠史准教授

 

 

2段階目では、集会所と周辺広場で、七夕の飾り作りや学生による絵本の読み聞かせなどのイベントを企画、開催。「プロジェクト開始当初より、シニアや子育て世代、子どもたちなど、多様な世代の人が企画会議に参加するようになった。

 

一方で、交流を日常的なものに落とし込む難しさもある」と鎌田准教授。コロナ禍でイベント開催ができず、交流の機会が大幅に減少したという。

そこで昨年7月、〝非接触型〞イベントとして、住民が個々に製作した多数のランタンを団地の広場で同時に灯すイベントを開催。接触を回避しながらも、住民同士のつながりを演出した。

 

団地の広場を灯すランタン

 

さらに昨年12月から、団地や広場を基点とする町の理想の形を学生と住民がともに考えるワークショップを開始。理想の町の模型を製作していく。

「コミュニティを持続させるには、頑張りすぎないことも大切。学生のアイデアを気軽に実行し、楽しく続けていきたい」と鎌田准教授は語った。

 

 

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