一般社団法人日本デイサービス協会(東京都千代田区)は1月14日、「中山間地域等に居住する者へのサービス提供の見直しについて」と題した声明文を発表した。
近年、豪雪に見舞われる地域が増えており、デイの送迎に支障を来していることから、中山間地域の報酬算定の仕組みを見直すことを求めている。
利用者宅前の雪かきもデイ負担
デイでは、利用者が施設内に滞在する時間が報酬算定の対象となっており、送迎に要する時間は報酬対象にはならない。しかし、雪の日は送迎に通常時よりも時間を要するため、スタッフは早出をしたり残業をしたりせねばならず労働時間が長くなる。また、送迎のためにスタッフが利用者宅前などの雪かきをしなくてはならないこともあり、労働負担が大きく増す。

利用者宅前の雪かきをするデイのスタッフ
これに伴い、残業手当など運営者側の支出も増加している。一般社団法人全国介護事業者連盟北海道支部によると、12~3月は水光熱費や除排雪費用などの支出が年間平均よりも約32%増加するという。
現在の介護報酬では「中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算」が設けられており、
①厚生労働大臣の定める中山間地域等に居住する利用者にサービスを提供すること
②通常の事業の実施地域を越えてサービスを提供していること
の2点が算定要件となっている。
今回の声明では、このうちの②について通常実施地域も対象に加えるよう見直すとともに、中山間地域の実情に沿った加算率とするように求めている。また、安全な送迎の実現に向け、送迎対応時間をサービス提供時間に含めるような措置の検討を求めている。
「中には雪かきなどの対応でサービス提供時間が短くなると、全額返金を求めてくる自治体もあるようです。現場は切実です」(森剛士理事長)