独立行政法人福祉医療機構(以下・WAM/東京都港区)は7日、地域密着型特別養護老人ホームに関するアンケートの調査結果を発表した。「スケールメリットが得られ難く、赤字割合が高い」とされる地域密着型特養だが、この調査では回答施設の約6割が「3期連続黒字」との結果が得られた。
黒字施設の推移を見ると、19年度65.0%、20年度65.1%と横ばいだったところ、21年度では70.8%と、過去2年より約5ポイント増加した。
施設の平均利用率(中央値)も96.1%、20年度96.8%、21年度96.9%と微増傾向。加重平均による同一施設比較(図1)でも同様で、コロナ禍による利用率への影響は、確認されなかった。

図1
出所:独立行政法人福祉医療機構
運営する施設の形態は、回答施設の58.1%が「単独」で、サテライト型の約1.6倍。66.9%が短期入所生活介護、25.8%が通所介護を併設している。利用率を併設施設別にみると、通所介護または小規模多機能型居宅介護を併設する施設において高い傾向がみられた(図2)。
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図2 29人定員の施設における利用率の推移(併設する事業別)
新規入所者確保についての自由回答では、「ユニット型であるため従来型特養よりも高い料金」や、「有料老人ホームや広域型特養との競合」などがネックとして挙がった。
調査はWAMの貸付先のうち地域密着型特養を展開する1171法人を対象に、昨年10月にWebアンケートを実施。315法人から回答を得た。