<連載第126回 休職者の復職>

 

心身の不調から長期の休業を余儀なくされてしまった従業員に対し、会社が休職を命じるケースは多くみられますが、いざ復職の場面になってトラブルが生じるケースが散見されます。

 

対応に困る復職絡みのトラブルとしては、「従業員は復職を希望しているが、会社は復職を認めることができないケース」が代表的なものではないでしょうか。

 

この場合、会社としては、当該従業員が〝雇用契約上通常求められる業務遂行ができる程度に回復しているかどうか〟を、〝客観的に確認〟することがポイントになります。

回復の程度については、基本的には、休職前の業務遂行を基準に検討すればよいのですが、当該従業員との雇用契約に職種や業務内容の特定がない場合には、同等程度の他の業務が遂行できるかどうかも含めて検討する必要があります。

 

この類型のよくある事例として、従業員から「復職可能」を内容とする診断書が提出されているものの、会社として復職を認めがたいケースがあります。

 

これは、診断書を作成した医師が、復職可能な程度を理解しておらず、〝出社できればよい〟と考えている場合や、医師が、従業員を支援する意図で診断書を作成してしまった場合等に生じてしまいます。

 

 

このような事例に対しては、会社が指定する医師(産業医がいる場合には産業医)に診察を改めて受けさせ、具体的な業務内容を踏まえた診断書の提出を促したり、「復職可能」との診断書を作成した医師に面談を申し入れる等して、その意味内容を確認する等の対応をすべきものと考えられます。

 

休職中の従業員が復職可能であるかどうかについては、最終的には会社の判断によるものとなりますが、「復職可能」との診断書が提出されている際に、先に述べたような対応をすることなく、担当者の印象だけで復職を許さないことは、その判断の有効性に疑義が生じることとなりますので、避けるべきでしょう。

 

 

就業規則の整備 肝要

 

休職及び復職に関しては、労働関連法規に具体的な定めがない分野となりますので、その対応には、就業規則にどのような定めが置かれているかがポイントになります。

コロナ禍において、心身に不調をきたす従業員が増える中、きちんとした対応ができる規則が準備できているか、今一度確認すべきでしょう。

 

 

弁護士法人ALG&Associates 執行役員・弁護士

家永 勲氏

 

【プロフィール】
不動産、企業法務関連の法律業務、財産管理、相続をはじめとする介護事業、高齢者関連法務が得意分野。
介護業界、不動産業界でのトラブル対応とその予防策についてセミナーや執筆も多数。

 

 

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