調査研究やコンサルティング業務などをしているNTTデータ経営研究所(東京都千代田区)は昨年から、介護ロボット普及に向けた「介護ロボットのニーズ・シーズマッチング支援事業」(以下・NSマッチング)を展開している。

HealthCare Implementationグループの足立圭司グループ長に話を聞いた。

 

 

足立圭司
グループ長

 

ニーズとシーズ、OTが支援

 

――NSマッチングについて。
足立 介護ロボットの開発などの支援事業を厚生労働省から受託し、開発・実証・普及を支援するプラットフォームを運営しています。その一環として、開発の着想段階から開発企業と介護現場が協議を行うマッチング事業「NSマッチング」を昨年6月から開始しました。

介護施設などのニーズ側と、大学、企業といったシーズ側双方に、ゼロベースで話し合ってもらうことを目的としています。

 

――始めた経緯は。
足立 ニーズ・シーズ関連事業の開始から5年が経ち、ある程度現場のニーズが分かってきました。介護向けに製品を展開していきたい開発企業と、介護施設が持つ真のニーズをつなげられるように始めました。

 

――支援する担当者について。
足立 ニーズとシーズのギャップを埋めるために見識を持つ人にマッチングサポーターとして活動してもらいます。シーズ側のマッチングサポーターとしては、介護の現場を知りながら、医療・工学的なことも分かる作業療法士が多く、半分以上を占めています。

 

――マッチングの流れについて。
足立 企業はまず、企業情報と希望する支援内容をエントリーフォームに記載してもらいます。介護ロボットを既に開発している企業に加え、現時点で参入していない企業や要素技術を有する企業でも参加可能です。

エントリー企業は注目するニーズやロボット案について、マッチングサポーターへのヒアリングや自社の製品・技術について意見を求めることができます。継続的にマッチングサポーターが助言を行ったり、リビングラボに取り次いで効果検証や実証支援を行えます。

 

 

プラットフォームの図案

 

 

――NSマッチングの感想は。
足立 これまでに70団体ほど利用しましたが、「マッチングサポーターから専門的な話を聞けた」「施設によって言っていることが様々で本質的なニーズをつかみにくかったが、紹介先から知りたいニーズを聞けて良かった」など好評でした。

 

――事業の中で感じた課題について。
足立 医療機器と比較し開発手法の体系的な整理がされていないため、開発手法自体の研究も必要だと考えています。また、製品の品質評価に関する社会的な仕組みが未整備であり、品質の担保はその大部分を開発企業に依存しているため、解決策としてプラットフォーム事業で整備しているリビングラボを活用して欲しいです。

 

――今後の展望は。
足立 まだまだNSマッチングが浸透していないため、地域の課題に則した支援をしていきたいです。また、地域の中でベンチマークとなる施設を作り、「あの施設みたいになりたい」といったモデル施設事業を行う予定です。

今月からは「東北kaigo-Tech実践研究会」を開催し、地域でテクノロジーを活用した介護研究を発表する場としてやっていく意向です。

 

 

 

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