医療・福祉人材紹介事業などを手がけるトライトグループ(大阪市)は、介護職を対象に、給与に対する満足度調査を行った。現在の年収については51.2%が「不満」と回答しており、その理由は「業務量に見合っていない」との答えが最多となっている。
約半数が年収250~400万円 年収200万以下の正社員が大幅減
この調査は、昨年11月に政府から発表された「コロナ克服・新時代開拓のための経済政策」の中で、介護・看護・保育・幼児教育分野での給与引き上げが掲げられたことを受け、昨年12月にインターネットを通じて実施、20代~60代の介護・看護・保育職626名が回答した。
2021年の介護職(全雇用形態)の年収(諸手当を含む総支給額)は、100万~300万円未満が42.4%を占めている。正社員に限定すると250万~400万円未満の48.1%が占めている。
年収400万円以上は、全雇用形態で13.7%、正社員のみで16.5%。全産業平均の年収は400万円台半ばとされており、介護職の多くはそこに届いていないのが現状だ。
20~21年 3割が年収増加
ただし20年との比較では、特に正社員の100~200万円未満の割合が大きく減少している一方で、250万~300万円未満、350万~400万円未満の層が増加しており、処遇改善が進んでいることがうかがえる(グラフ参照)。
通所系の6割年収250万以下
また、介護職(全雇用形態)の21年の年収を、施設形態別に見た場合、通所系と入居系はともに200万~250万円未満が最多。100万~200万円未満の層は通所系が22.0%、施設系が11.3%となっている一方で、250万~300万円未満の層は通所系7.3%に対して施設系13.0%と大きな差が見られる。
訪問系は100万円以下と100万~200万円未満がともに18.8%。ただし300万~350万円未満の層は全体の12.5%おり、通所系・施設系を上回っている。
手当拡充などで収入のアップに
20年から21年の介護職の年収の増減については「増減なし」が43.9%で最多。「増加した」は32.2%、「減少した」が11.2%。年収が増加した人にその理由を聞いてみたところ(複数回答)、最も多いのは「手当がついた・増えた」「昇給・昇格」がともに33.3%、「労働日数・労働時間が増えた」が27.3%。10%強と少数だが「副業(複業)を始めた」もいる。
「業務量に見合わない」が最多
現在の給与に対する満足度では「不満」は51.2%、「満足」は22.0%。満足の理由では「労働時間に見合っている」が最多で、以下「経験年数や勤続年数に見合っている」「業務量に見合っている」「同業種と比較しても適正・それ以上」「自分の生活水準に対して足りている」と続く。
一方、「不満」の理由では、「業務量に見合っていない」「労働時間に見合っていない」「同業種と比較して適正以下」「自分の生活水準に対して足りていない」の順。