安価な端末多数導入、障害者が入力を支援

 

社会福祉法人大地の会(相模原市)の特養塩田ホーム()は、外国人や高齢者のスタッフが多い。介護記録システムの導入を進める際、そのようなスタッフに配慮し端末の選定や業務の見直しを実施。費用や労力を抑えつつ記録システムの定着に成功した。

 

 


同ホームは定員100名で、従来型51,ユニット型49床の施設。技能実習生の積極的な受け入れ、職員が長く働ける職場にするために時間や業務を限定して働くことができる制度の導入など、人材の確保、定着に力を入れている。

現在、ベトナムからの技能実習生4名を受け入れている。また、長く働き続けられる環境を整えた結果、65歳以上のスタッフが10名、その中の1名は70代で30年以上務めるベテランだ。


施設では2年ほど前より記録システムを使用していたが、外国人スタッフがキーボード入力に不慣れだったり、高齢のスタッフが多くPC操作に不安があったりする、といった点が課題だった。そのため1年ほど前、記録ソフトの切り替えに際して端末の整備、業務見直しなどを行った。

 

 

端末を片手に入居者と会話を交わすスタッフ。即座に記録の入力が可能となった

 

 


機能シンプルに 


新型コロナ対策関連の補助金を原資に、PCに不慣れでも直感的に操作可能なタブレット端末の導入を決定。記録ソフトがiOSに対応していることから、ポータブルメディアプレイヤーの「iPod touch」を選んだ。機能は限られるがiPhoneの最廉価モデルより2万円以上安価だ。施設のICT化を担当する横山雅弥副施設長は「『記録する』という目的で考えれば必要十分でした。機能がシンプルで操作が覚えやすく、不具合の発生も抑えられます」と語る。

 


安価な端末を選定した分、導入台数を増やした。現在、施設全体で24台導入。1ユニットに2台は行き渡っている。これにより、業務中の12分ほどの隙間時間に記録ができるようになった。職員が負担に感じていた、「作業を一度切り上げてPC前に移動し、記録を入力する」ということや、「PCの順番待ち」がなくなった。

 

塩田ホーム
横山雅弥副施設長

 

 


就労移行支援で データ入力依頼


昨年4月から、科学的介護情報システム「LIFE」の運用が開始されたことから、施設でもその対応が行われた。

そこで課題となったのが、病歴、服薬情報などの利用者の基本情報の入力負担だ。スタッフには通常業務に加えて、これらを入力する手間が必要となった。
スタッフの業務負担を軽減するために実施したのが、障害者の就労移行支援の一環としてデータ入力を依頼することだった。

 


横山副施設長は「現在コロナ禍で、障害者の就労移行支援のインターンの受け入れが滞っており、『働きたくても職場体験ができない』人が多いことを聞き、この方法を思いつきました」と語る。

 


市内の就労移行支援事業所「LITALICOワークス」などから月2名ほど、インターン生を受け入れ、データ入力を依頼した。

「一般に障害者のインターン先としては軽作業が多い。ここではPC作業をお願いするので、より実際の仕事に活きる体験ができます」(横山副施設長)

 

施設では従前より、ベッドのシーツ交換を1床当たり200円で依頼するという例があった。現在は、「LIFEへの提出データ入力」という重要な役目を担うこともあり、インターン生の意欲は高く、施設での就職が決まった例もある。

また、職員にとって障害者の受け入れが、「作業手順の再確認」の機会になり、教育につながっている。

 


これらの取り組みで効率化した時間を、ケアの質向上に加えて、外国人スタッフとの文化交流などの時間に充てる方針だ。

これまでには、世界アルツハイマーデーのイベントの一環で、技能実習生が主役のファッションショーを開催した。これらのイベントの様子が母国に伝わることで信頼を得ることができる。

 

さらなる技能実習生の受け入れにつなげていく。

 

施設で実施されたファッションショーの様子
業務で効率化した時間をイベントなどの充実に充てる

 

 

 

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