政府の規制改革推進会議の医療・介護・感染症対策ワーキンググループ(以下・WG)は7日、会合を開いた。
昨年末の同WGで検討された「介護に新たなテクノロジーを導入し、合わせて介護施設の人員基準を緩和すること」についても事業者団体、専門職団体からの意見聴取が行われた。
人員基準緩和の議論 危機管理も問題提起
厚労省は“4対1への人員基準の緩和”にかかる件について、現時点で具体的な方針を示していない。
もとより基準の変更については「あらかじめ社会保障審議会介護給付費分科会の意見を聴かなければならないとされている」とし、過去2年度同様に実証を行い、介護報酬改定の検討に資するデータを収集していく構え。
厚労省が今回WGに示した実証事業実施の具体的なスケジュール(予定)では、受託事業者を決定した後、4〜5月にかけて実証計画を策定し、提案募集を行う。その上で、6月からデータ収集を開始。実証期間は、6ヵ月程度を確保する。
実証事業のテーマとなるのは、見守り機器などを活用した夜間見守り、介護ロボットの活用など。
介護事業者から生産性向上の取り組み目標や具体的な取り組み内容などに関する提案を受け付け、それを踏まえた実証を行うことも盛り込んだ。
想定される調査項目としては、テクノロジー導入によって▽介護職員の業務内容・割合がどのように変化したか▽ケアの質が適切に確保されているか▽介護職員の働き方や職場環境がどう改善したのか――など。
WGには、公益社団法人全国老人福祉施設協議会、公益社団法人日本介護福祉士会などが参加。
介護現場における実証事業に関する留意点として、「デジタルテクノロジーの導入が真に質の高いケアの提供に資するものであるのか」との懸念も残るとし、「ケアの質の向上と職場環境の改善などの状況確認をしっかりと行なって欲しい」「ケアの質の向上が一次的なものでなく、継続的なものか確認して欲しい」などの意見が示された。
合わせて今後の検証作業については、「いかに質の向上に結びついているのか」「具体的にどのような介護業務が効率化されたかを検証して欲しい」などの要請があった。
また、件の人員配置基準の見直しについては、「介護職員の業務負荷に結びつかないか」「危機管理上の問題はないと言えるのか」といった問題意識も示された。