読売新聞がスクープ、独走

 

123日の読売新聞が「広島の社福法人30億流出」「破綻 経営権の売買後」「県が特別監査」と1面トップで報じた。国が認めていない社福法人の経営権の売買が創業者の医師と公認会計士の間で行われたという。東京都や広島県で特養を運営している。

 

3面でも「『禁じ手売買』で破綻」「理事長交代後 不明朗支出」と大きなスクープ風の紙面構成だ。独自に入手した売却意向確認書の写しの写真には、「最低売却価格35億円」の数字が読みとれ、内容を裏付ける。
理事長の交代などで実質的に社福祉法人が売買されてきた事例はこれまでにも少なくない。こうした「合法的買収」にも踏み込んで欲しい。

 

読売は、「香港に受け皿法人」(24)、「資金循環 決算調整か」(26)、「投書に広島県、対応せず」(26日夕刊)、「厚労相 社福法人悪用なら遺憾」(25)と続報を掲載。

 

 

やはり読売新聞だが、2日の夕刊で「介護職員配置基準を緩和」と1面トップで、翌日朝刊にも同じ記事が出た。1221日に日本経済新聞がスクープした職員配置41問題の後追いである。日経では対象が有料老人ホームだったが、読売は特養としている。

 

8日には、前日開かれた規制改革推進会議ので厚労省が6月からモデル事業に入ると両紙だけが載せた。日経の記事が正しかったようだ。

 

 

コロナ禍で訪問介護の危機感が深まっている。

21日の朝日新聞は「訪問介護事業者有志 『陽性者宅の援助に加算を』」と、政府に要望書を出す動きを報じた。訪問診療や訪問看護には加算が付くのに、ヘルパーにはなく、もっともな主張である。その有志の一人、介護NPOの小島美里代表が「訪問ヘルパー消滅の危機」と訴えたのは120日の毎日新聞。「介護施設職員は公費でのPCR検査やワクチンの優先接種となったが、訪問介護は除外」と指摘する。ヘルパーは介護のベースなのにあまりにも軽視されている。改善を求める声をもっと掬い上げるべきだろう。

 

 

「マンションでグループホーム(GH)認めず」。121日の朝日新聞は大阪地裁の判決を伝え、各メディアもオンラインで報じた。障害者GHの約2割は共同住宅内にある。判決では、管理組合が設備費の費用負担を強いられるとしたが、地域共生の考え方に反する。介護保険のGHではどうなのか、言及が欲しい。

 

ALSになった医師と作家が登場した連載コラム、朝日の「それぞれの最終楽章」と読売の「医療ルネサンス」が印象に残った。

 

 

 

浅川 澄一 氏
ジャーナリスト 元日本経済新聞編集委員

1971年、慶応義塾大学経済学部卒業後に、日本経済新聞社に入社。流通企業、サービス産業、ファッションビジネスなどを担当。1987年11月に「日経トレンディ」を創刊、初代編集長。1998年から編集委員。主な著書に「あなたが始めるケア付き住宅―新制度を活用したニュー介護ビジネス」(雲母書房)、「これこそ欲しい介護サービス」(日本経済新聞社)などがある。

 

 

 

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