岐阜県でデイサービス3事業所を運営するフロンティーク(岐阜県関市)。

2015年に岐阜市に出店した3店舗目の不振から売り上げ2億2000万円ながら3000万円の債務超過に陥った。窮地からV字回復を果たした要因は、三鴨正貴社長自身が開発したアプリケーションによる業務改善だった。

 

 

三鴨正貴社長

 

自社製アプリで業務効率化

 

――厳しい時期があったと聞いた。
三鴨 順調だった2店舗目までとは一転、新規開設した岐阜市の店舗は業績が伸びず、15年改定での報酬引き下げも影響した。利用者確保に奔走するも利益は出ず、一方で現場は多忙を極めた。従業員の不安は不満に変わり、70名前後のスタッフの離職率は33・3%にもなった。

 

――課題はどこに。
三鴨 スタッフへのヒアリングを徹底して、明らかになったのは2つの不満。1つは「業務負担の大きさ」であり、もう1つは「会社の向かうところが見えない」ことだった。

 

――打開策は。
三鴨 注目したのは、記録業務の煩雑さ。これを廃し、IT化によって効率化、余裕時間を生み出そうと決めた。ただ、IT企業提供のソフトは操作が難しく、現場スタッフの使用には適さないと感じた。

そこで独学で得たスキルを活かし、自ら開発に取り組んだ。パソコン操作に慣れない人でも感覚的にわかるよう情報を一覧できる工夫をし、半年を要して導入に至った。

 

自社開発ソフト「ラクウェル」画面見本

 

 

――導入はスムーズにいった。
三鴨 まずは1拠点に導入。1ヵ月かけて効果測定をしながら運用し、2ヵ月目以降、他拠点に広げた。利用者の自立支援のため機能訓練プログラムを取り入れているが、訓練メニューを組み立て進捗状況を把握することも可能になった。

 

――業務効率が劇的に上がった。
三鴨 カルテの記入は、看護師資格を持つ職員の大きな負担だった。毎日、2人がかりで2時間をかけて体調やその日の出来事を詳細に記録していた。中には毎日同じ作業を続けたことで腱鞘炎になってしまった職員もいた。それを1人が30分で完了できるようになった。そのほかの記録業務も含め、業務時間は約90%減となり、残業も月平均5時間に収まるようになった。

 

――余裕時間は何に。
三鴨 利用者との関わり合いのほか会議に充てた。有志5、6人の参加を得て事業計画書を改めて策定。経営計画発表会を毎年実施することで、スタッフの帰属意識が徐々に増したと実感している。
嬉しかったのは、アプリの導入などを通して、各人が職場を改善し、利用者のために何ができるかを考えるようになったこと。3事業所の職員が互いに連携し、「教え合う空気」も生まれた。

 

毎朝、全店で行う職員の紹介、配置案内

 

 

離職、大幅減も

 

――V字回復を果たした現状は。
三鴨 直近の売り上げは、底だった15年に比較して1億円増の3億2000万円に。スタッフの定着、働き方の改革も進んだ。離職率は8・8%に落ち着き、55%だった有給取得率は85%に向上した。

 

――今後については。
三鴨 デイ事業は4店舗目の出店が視野にある。別法人でのアプリ外販も進めていく。現場発であることが注目され、現在約60施設に導入されている。

 

 

 

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