コンテストで介護の魅力発信

 

中国政府機関の民政部と人力資源・社会保障部は昨年12月、全国介護技能競技コンテストを共同開催し、全国から選抜された128名の介護スタッフが参加した。

介護関連のこのようなイベントを政府主導で開催するのは、初めてのことであり、注目を集めた。

 

中国統計局が先月発表した最新データによると、昨年末時点での65歳以上の高齢者数は約2億人、高齢化率は14.4%となり、「高齢社会」に突入した。

全国には、約32万ヵ所の介護施設(約800万床)があるが、介護スタッフは200万人不足しており、国が定める人員配置基準4:1をクリアできている施設は少ないのが現状だ。また、介護スタッフの平均年齢は高く、学歴が低いことも課題とされている。

 

政府は2019年、介護スタッフの採用について学歴不問としたほか、賃金値上げなども行ったが、人材は思うように集まらなかった。経済成長が著しい地域では、給与を地元水準より高く設定しても、採用状況は改善されなかった。

 

そこで政府はさらに政策を強化し、無料研修や奨励金制度などを実施。ようやく介護職を希望する若手が増えてきた。

彼らは、中高年スタッフより学習意欲が高く、多くが医療・介護などの専門教育を受けているため、介護施設ではこのような若手人材が非常に歓迎されている。

 

今のコンテストは、介護という仕事が崇高かつ神聖で、専門性が高い職業であることを社会に発信することで、介護への理解や知識を深めることが目的である。
選抜された128名の平均年齢は29歳だったが、現場スタッフの平均年齢はもっと高い。このことからも、このコンテストが若手人材にアピールすることが最大の狙いであることがわかる。

 

コンテストに参加した22歳の介護スタッフ

 

コンテストでは、高齢者の生活場面を再現。

施設・在宅・地域といったシーンで、ケアプラン作成や身体機能の評価、生活介助や医療ケアなどの項目で、参加者が競い合った。

 

1等賞(5名)、2等賞(15名)、3等賞(32名)などの優秀者が選ばれ、一等賞には、「全国技能達人」という肩書が与えられるなど、各賞で奨励金などが贈られた。

 

政府関係者は「このようなイベントが、介護現場で活躍する人たちにとって、切磋琢磨し合い、高い志を持ってもらえるきっかけにしたい。そして、介護職の給与改善につなげていくことが重要である」と語った。

 

 

 

王 青氏
日中福祉プランニング代表

中国上海市出身。大阪市立大学経済学部卒業後、アジア太平洋トレードセンター(ATC)入社。大阪市、朝日新聞、ATCの3社で設立した福祉関係の常設展示場「高齢者総合生活提案館ATCエイジレスセンター」に所属し、広く「福祉」に関わる。2002年からフリー。上海市民政局や上海市障がい者連合会をはじめ、政府機関や民間企業関係者などの幅広い人脈を活かしながら、市場調査・現地視察・人材研修・事業マッチング・取材対応など、両国を結ぶ介護福祉コーディネーターとして活動中。2017年「日中認知症ケア交流プロジェクト」がトヨタ財団国際助成事業に採択。NHKの中国高齢社会特集番組にも制作協力として携わった。

 

 

 

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