社会福祉法人積善会(東京都青梅市)が運営する「特別養護老人ホーム長渕園」(同)では入居者の在宅復帰支援を行う。本人の希望に沿ってサポートし、今までに2、3件復帰を実現してきた。

一昨年には身寄りがない入居者の在宅復帰に初めて取り組んだ。

 

 

地域サービスにつなぐ

 

一昨年に支援したのは、脚を骨折して入院し、2017年の入所時は要介護度4であった60代の女性(認知症の診断なし)。特養は自宅があった市から離れていたため、入所時から「生まれ育った地域に帰って生活がしたい」という思いが強くあったという。

鈴木謙太郎生活相談員は「職員が『無理だ』と決めつけてはいけない。『入居者本位』ですべきことを考え、復帰を支援する決断に至った」と話す。

 

本格的に復帰を目指し始めたのは19年4月から。1人で暮らせるレベルまでADLを向上させるため、歩行・筆記・服薬管理・計算・金銭管理の5つの個別リハビリを実施。

「個人に時間を割いてリハビリを行うのは施設において初めての取り組みとなった」と介護福祉士の力丸仁美氏は話す。職員が交代で時間をつくり、歩行や文章の書き写し練習などに取り組んでいった。

 

 

リハビリと並行して、生活相談員や施設のケアマネジャーが中心となって家探しを開始。

 

物件見学をした様子

 

 

「セーフティネット住宅」に登録する賃貸物件を本人と共に数件内見した。住み慣れた場所にあり、室内に段差が少ない物件に決定。引っ越しに当たる手続きや家具家電の購入、配置も職員がサポートし20年9月に在宅復帰に至った。その頃には要介護度2になっていたという。

 

 

施設のケアマネは、女性を担当する居宅介護支援事業所のケアマネと共に担当者会議に参加する、電話で情報共有するなどし、必要なサービスを検討。手すりなどの福祉用具、週2回のデイ・訪問介護、毎夕食の配達を介護保険外サービスで利用することとした。

現在も施設職員が女性に定期的に電話をしているという。「この事例を通じ、特養も地域包括ケアシステムのなかで、住み慣れた地域で自分らしく暮らすサポートをする役割を担えると感じた」と鈴木相談員は語った。

 

 

なお、この取り組みは社会福祉法人東京都社会福祉協議会が開催する第16回高齢者福祉実践・研究大会「アクティブ福祉㏌東京21」で優秀賞を受賞した。

 

介護福祉士の力丸仁美氏(左)と鈴木謙太郎生活相談員(右)

 

 

 

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