鹿児島県指宿市にある医療法人明正会は、都市部の患者を受け入れ、手術とリハビリテーションを提供する事業を進めている。治療と観光を兼ねた「医療ツーリズム」を推進し、地域の活性化を狙う。

 

 

 

法人の中核となる今林整形外科病院(鹿児島県指宿市)は、一般病棟50床(内、地域包括ケア病床20床)、回復期リハビリテーション病棟60床の病院。

診療科目は整形外科、リハビリテーション科、リウマチ科で、特に脊椎の疾患に対して専門性の高い医師が在籍している。関連施設として、リハビリクリニック、老健のほか、東京都港区でクリニックを運営している。

 

同院の強みは、脊椎・脊髄診療において専門的な知見を持つ、慶應義塾大学医学部整形外科脊椎・脊髄班との連携だ。

脊椎・脊髄班は、「片開き式頚部脊柱管拡大術」、「経皮的髄核摘出術」などの、先進的な手術術式を考案。年間手術数は500件を超えるなど、脊椎・脊髄診療で指導的な立場にある。

 

第1、3、5週の火曜日に、慶応義塾大学病院整形外科医局准教授の渡辺航太医師が診察を行っており、予約すれば紹介状不要で治療を受けることができる。今林整形外科病院の理事長でもある今林正典理事長は慶應大学医学部出身で、渡辺医師と縁があったことから、この連携が生まれたという。

 

 

 

 

リハ職42名在籍

 

また、2017年から、首都圏や都市部の患者を受け入れる事業を段階的にスタートした。

東京のクリックを受診する患者が渡辺医師による治療を希望する場合に、今林整形外科病院を紹介し、そこで手術、リハビリを受けることができる。今のところ移動は自費だが、今後空港から病院までの送迎車を運行する予定だ。

 

基本的には手術、リハビリのセットで提供し、術後は迅速にリハビリを開始できる。同院には、理学療法士や作業療法士などの42名の専門職が在籍。チームで医療とリハビリを提供する。

 

指宿市という立地を生かし、法人施設に温泉を完備。また、徒歩圏内には鹿児島湾に面する風光明媚な公園もある。気候も比較的温暖だ。リハビリのモチベーションにつながる環境が整っている。

 

 

温泉地でリハビリ  食事も「地元」の味に

 

この事業を推進する今林恵美理事は、「慶應大学では患者が多すぎ、新患の受け入れがほとんど止まっている状態でした。治療を受けるまで数年待ち、というケースもあると聞き、それなら、今林整形外科病院で患者を受け入れようと考えました」と、この事業のきっかけについて話す。

 

今林恵美理事

 

 

併せて、医療ツーリズムの進展による地域の活性化も目指している。

 

指宿市はリゾート地として発展。1950年には約7万人まで人口が増加したが、その後減少に転じ2021年には約4万人となった。現役世代が減少する反面、高齢者数は増加。45年には高齢化率が44%を越える見込みだ。

街の衰退と共に、病院の経営も危うくなることもある。地域のインフラである医療提供体制を守るためにも、医療ツーリズムで新たな患者に対応する。

 

今後は、さらなる受け入れ人数増加に向け、ハード、ソフトをさらに拡充させる。「委託していた食事を自社に切り替えました。より、地元の味を楽しめる食事を提供できるようにするためです」(今林理事)。

 

将来には回復期、維持期のリハビリの受け入れもする予定だ。

 

 

 

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