社会福祉法人弘陵福祉会(神戸市)が運営する「特別養護老人ホーム六甲の館」(同)では3年前からノーリフティングケアに取り組む。施設は入所70床、ショートステイ10床の多床室。現在は、2種類のリフトやスライディングシートなどを導入している。

 

委員会設立、活用推進

 

「導入1年目は抵抗感のある職員もおり、思うように活用が進まなかった」と看護師の大崎恵美氏は話す。そこで、取り組みにあたり設立した「ノーリフト委員会」を、意欲の高い介護職員と看護師を含む6名で再構成。

 

リフトを活用する看護師の大崎恵美氏

 

 

「良い介護サービスの前提条件は職員に腰痛がなく元気であること」という明確な介護理念を現場に浸透させた。

また、リフト活用のメリットを可視化した。浴室で行う車椅子からストレッチャーへの移乗介助の時間を、リフトを使った場合と使わなかった場合で比較したところ、前者では職員3名で介助し2分1秒かかったが、後者では職員1名でわずか1分35秒だった。

 

そのほか、褥瘡や皮膚剥離などの事故件数も少なくなり、報告書の作成や改善会議の時間も削減。効果を可視化したことで、「リフトは時間がかかる」という職員の思い込みを払拭できたという。

 

 

「ノーリフト委員会に、利用者の容態を総合的に把握できアセスメント力の高い看護師を置くことで、取り組みのビフォアー・アフターの違いが明確になり、介護職もリフトの重要性を実感することができた」と溝田弘美理事長は語る。

 

溝田弘美理事長

 

 

先進機器を積極導入

 

同施設ではノーリフティングケア実施前からセラピーロボットや見守りセンサーなど介護ロボット・ICT機器も導入してきた。毎年平均10種ほどの機器を試験運用し、導入を検討。今年度はミストバスなど3つの機器を採用し、新たな機器を取り入れ介護負担の軽減を図っている。

 

「長期的に見れば、機器の導入コストより職員の離職によるコストの方が、影響が大きい。明確な介護理念・目的を定めた上で導入を進めていくことが重要」(溝田理事長)

 

 

 

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