社会福祉法人芳梅会(京都府木津川市)のあすてる訪問介護ステーション(同)では、2年前から記録の電子化に取り組んでいる。電子化を進めたことで業務が効率化したことに加え、家族やケアマネジャーからの信頼にもつながっている。
同事業所では記録の電子化に伴い、タブレット端末を11台導入した。ヘルパーは、訪問前に利用者の状態をチェックし、事前に準備を整える。大きな変化があった利用者の記録欄は、目立つように色付きで表示されるように設定されているため、特に注意深く記録を読む。サービス提供後は、移動の隙間時間や自宅などで記録を入力する。
植田美登里管理者・サービス提供責任者は、「隙間時間などに熱心に記録を見るようになりました。それによってヘルパーは、訪問前に『心づもり』ができるので、何かあっても落ち着いて対処ができています」と語る。

社会福祉法人芳梅会
あすてる訪問介護ステーション
植田美登里管理者・
サービス提供責任者
訪問先でタブレットを使いこなすヘルパーの姿は、「積極的に新しいことを取り入れている事業所」というアピールになる。利用者や家族から、好意的に受け止められている。そして、同法人のケアマネジャーも必要に応じて即座に記録を参照、ケアプランに活かすことができるため、現場との連携もより進んだ。
記録の電子化に対して、抵抗感を感じるヘルパーもいたという。60代のベテランは当初、「私には無理」という反応であった。
植田管理者は「まず、『タブレットを使いこなしながら仕事するのはかっこいいよね』という声掛けで、前向きに捉えてもらうようにしました」と語る。操作ミスや定期アップデートなどで本人が対処できない場合はいつでも相談に応じ、すぐに事務所内で使用するタブレットと交換することとした。

ヘルパーはタブレット端末を活用し、ケアを提供する
地道に支援を続けた結果、現在高齢のヘルパーも問題なくタブレットによる電子記録ができているという。
今後は、Zoomによるオンライン会議にも活用。さらに多職種連携などを進めてケアの質向上につなげていく方針だ。