安全な資産管理へ

 

大和証券(東京都千代田区)、NTTコミュニケーションズ(同)、日本テクトシステムズ(以下・日本テクト/同港区)の3社は、電話を活用した高齢者の認知機能チェックシステムの実証実験を昨年12月から今年2月にかけて行った。

今回の結果を、超高齢社会に対応した金融サービスの開発・提供につなげていく考えだ。

 

 

 

 

長寿命化にともない、金融機関にとっては「顧客の認知機能や身体機能が低下し、資産管理が十分に行えない状況」が増えていることが課題となっている。こうした中で、高齢化が金融に与える影響を分析する学問「フィナンシャル・ジェロントロジー」が注目されており、大和証券も2019年10月に社内に「フィナンシャル・ジェロントロジー室」を設けている。

 

一方、高齢者が使い慣れている電話と音声解析AIを連携させることで超高齢社会の課題解決に寄与するソリューションの提供に取り組んできたNTTコミュニケーションズと、認知症AIチェックツール「ONSEI」などのサービス・システムを提供してきた日本テクトの両社は連携し、誰でも簡単に利用できる「認知機能チェックシステム」を構築した。

 

 

電話通話を用いた実証実験のイメージ図

 

 

今回の実証実験は、大和証券の顧客の中で承諾を得た人を対象に、電話もしくはスマートフォンのアプリケーションを用いて実施した。

①所定の電話番号へ発信(アプリの場合はダウンロード)、②ガイダンスに従ってユーザーIDなどを入力、③本日の日付や曜日を発話、という作業を高齢者自身が行い、その回答内容や話し方をAIが分析して認知機能の状態を判定するもの。

 

 

スマホアプリを用いた実証実験のイメージ図

 

 

実証実験の結果について大和証券では「スマホのアプリだけでなく、スマホでの直接通話、固定電話など受付手段を多様化することで、高齢者は自分が好む方法で認知機能のチェックを受けることが可能になり、安心な資産管理の実現に寄与できると確認できた」とコメントしている。

 

3社では今回の実証実験を、フィナンシャル・ジェロントロジーを取り入れた金融サービスの向上や、それに向けたシステム開発などにつなげていく考えだ。

 

 

なお、日本テクトはNTTドコモ(同千代田区)と提携し、高齢者が電話でAIと会話するだけで認知機能をチェックできるシステムの実証実験を4月より開始する。

65歳以上の高齢者に毎日架電して認知器機能をチェックするほか、高齢者が運転免許更新時の事前チェックとして架電を行う。

 

 

 

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