らいおんハートグループ(東京都港区)は千葉県市川市の行徳エリアを中心に、クリニックや鍼灸院、デイケアなど、FC11店舗を含め100以上の事業所を展開する。同グループの医療法人社団緑友会(千葉県市川市)では、言語・摂食嚥下リハビリに特化する「ことばのデイケア」を運営している。
グループワークで「伝わる喜び」
ことばのデイケア(定員30名)は、同グループの内科・整形外科リハビリクリニックに併設。STが4名在籍する。
対象となるのは、言葉が思うように出せない、読み書きが苦手になるなどの失語症や、呂律が回りにくい構音障害の人。1日型が基本で、体操や歩行運動を挟みながら、訓練を行う。60~75歳くらいの利用者が多い。
訓練は次のようなプログラムで行う。
①上手くいかないことを繰り返し行い、「できること」を明確化する
②「絵を描きたい」「歌いたい」などの目標を設定し、達成に必要な課題をクリアしていく
③グループワークを通して、他の利用者と伝え合う。
②の過程で、STがマンツーマンで絵カードを使った呼称訓練や書き取り訓練、発声に必要な筋肉の訓練などを行う。
グループワークを取り入れるのは、会話能力の向上だけではなく、仲間づくりもリハビリには大切という方針からだ。
グループワークでは、利用者が現在取り組んでいることや好きなことなど、“話したくなる”テーマを用意。各自ができる方法で伝え合う。スムーズに伝わらないことも多いが、伝わった時の利用者の喜びは大きいという。
ことばのデイケアを卒業した人も数名ボランティアとして参加し、失語症の人が伝えたいことを繊細に感じ取り、コミュニケーションを促す。

STによるグループ訓練の様子
「言語障害の方はデイサービスなどで孤立してしまうことが多いが、ことばのデイでは言語障害の方が主役。皆さん生き生きと自己表現している。同じような障害や悩みをもつ人同士が励まし合い、互いに元気になる“ピアカウンセリング効果”も生まれている」とグループ介護本部・沼田仁本部長。
クリニックから始まった同グループ。
病院から退院後にADLが落ち再入院になる人を多く目にしたことから、デイサービスやデイケアへと事業を広げた。言葉がうまく出てこずに悩む利用者の姿を見て、ことばデイケアを2006年に開設。
行徳エリアは病院が多く、在宅のリハビリサービスの需要が高いという。1時間から6時間まで短時間デイケアやデイサービス、ショートステイなどを揃え、地域の人の在宅生活を支えている。
今年の夏にはPT、STなどリハビリ専門職が常駐するグループ初の住宅型有料老人ホームも開設予定だ。