奈良東病院グループのライフエール(奈良県天理市)が大阪市内で運営する介護付きホーム「エバーライフ加島」は2月、脳卒中に特化したリハビリテーション事業を展開する脳PLUS(大阪市)と提携した。入居者に対し自費のリハビリを提供し、慢性期医療と在宅生活をつなぐ役割を果たしていくのが狙いだ。
エバーライフ加島の渡木潤一館長と脳PLUSの山本秀一朗社長に話を聞いた。
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エバーライフ加島渡木館長(左)と、脳PLUS山本社長(右)
――エバーライフ加島について教えて下さい。
渡木 2011年開設の60室の介護付きホームです。入居金は、一時金が60万円、月額は家賃・管理費・食費で合計19万円強。JR加
島駅から徒歩3分という交通利便性に優れた立地ながら閑静な住宅街にあります。
昨年訪看を開設 ホスピス運営も
――ここ数年、新たな取り組みを行っているそうですが。
渡木 昨年より外部のコンサルタントに入ってもらいました。5月にホーム内に自社運営の訪問看護ステーションを開設し、夜間はオンコール体制になりますが、医療提供体制を強化しました。
現在入居者は54名いますが、このうち5名が医療保険で訪問看護を利用しています。また、訪問看護の開設にあわせ、ターミナルケア専用の居室を設けてホスピスとしての運営も始めています。
そして先月からは、脳PLUSと提携して脳卒中に特化したリハビリの提供を保険外で開始しました。
――脳卒中リハビリについて詳しく教えて下さい。
山本 当社は脳梗塞、脳出血、くも膜下出血患者に特化した自費のリハビリを通所・訪問で提供してきました。これまでも個人的に契約して高齢者住宅の入居者に対してリハビリを行うことはありましたが、高齢者住宅を運営する法人全体と提携するのは初めてのケースです。
――なぜ、このようなサービスが必要なのですか。
山本 退院することになったものの身体状況体機能を回復させることができれば、本人、家族双方にとって非常に便利だろうと考えました。

エバーライフ加島外観
週5日利用で月額21万円弱 1~6ヵ月の短期集中で機能回復
――リハビリの回数や費用などは。
山本 1回60分の個別リハを週に5回受ける場合で1ヵ月税込み20万9000円です。これにホームの入居費用がかかります。料金は、当社の通常リハビリの半分程度に抑えています。民間医療保険の中には、脳卒中になった場合には一時金が支払われる商品も多いですから、保険金をリハビリ費用に充てることができます。
本人の身体状況にもよりますが、1ヵ月∼6ヵ月程度、長くても1年での「卒業」を目指します。
――今後の展開などを教えて下さい。
渡木 現在は脳PLUSのリハビリを必要とする入居者がいませんので、今後の入居者募集活動に際して、ほかの高齢者住宅との差別化ポイントとして広くアピールしていきたいと思います。また、当社やグループの法人が運営するほかの高齢者住宅からの住み替えニーズにも対応していきたいと考えています。
現在は、脳PLUSからリハビリ専門職に通ってもらう形をとっていますが、当社にもリハビリ専門職は多数在籍しています。将来は、脳PLUSから脳卒中リハビリに関する知識やノウハウを提供してもらい、会社全体のリハビリレベルの底上げも図っていければと思っています。