世界120位と国際的に低いジェンダーギャップ指数
今年も、3月8日に国際女性デー(International Women s Day)を迎えた。
1904年、ニューヨークで婦人参政権を求める女性たちが起こしたデモをきっかけに、75年に国連によって制定された記念日だ。
毎年、ジェンダー平等を目指して、世界各国でさまざまなイベントが行われているなか、日本で初めて開催されたイベント「HAPPY WOMAN FESTA」が立ち上げられたのは17年だった。当時の日本では、ほとんど認知されていないイベントであったが、30年までに全国47都道府県での開催を目標とし、6年目の今年は国内外でも最大規模の国際女性デーのイベントとして、22都府県まで拡大した。
海外では、特にイタリアやロシアなどで大規模なお祝い事として開催される。イタリアでは、「ミモザの日」として、女性にミモザを贈る習慣があり、街のいたるところにミモザが咲いているという。ロシアなど世界20ヵ国以上で、3月8日の国際女性デーは国民の祝日となっている。
制定から47年が経った今、わが国の女性たちにも自分らしい生き方の機会も増え、選択肢も広がってきた。
しかし、以前コラムでお伝えした通り、21年の世界経済フォーラム(World Economic Forum)が公表したレポートでは、ジェンダーギャップ指数はG7で最下位の120位だ。男女の資金格差はワースト3位。45〜54歳の年齢階級では、男性の正規雇用者数670万人に対して女性は294万人、男性の非正規雇用は61万人に対して、女性は371万人という格差となっている。
国際女性デー当日、ストライキに踏み切った女性たちがいた。更年期障害で欠勤が増えていた契約社員が、同僚2人とともに雇い止めとなったことに対し抗議。この働き盛りの45〜54歳に、ちょうど「更年期」はやってくる。
「VOGUE CHANGE」のアンケート調査によれば、「閉経や更年期に対して、社会がどんな印象を持っていると感じるか」という質問に、78%が「ネガティブ」と回答している。さらに「『更年期』について知識があると思うか」という質問には、82.5%が「ない」と自覚している。
99年、日本心臓病学会で性差医学・医療概念が紹介された。ここから、01年に日本初の女性外来が鹿児島大学医学部附属病院に開設され、同年9月には、千葉県が堂本暁子知事の発案で千葉県立東金病院に公立病院初の女性外来を開設。その後、06年には全国43の医科大学、115の国立・県立・市町村病院で「女性外来」が開設された。
07年に日本初「性差医療部」が東京女子医大に設立といった性差医療における発展は、研究会から日本性差医学・医療学会へと昇格された。しかし未だ、性差医療が社会に十分に浸透しているとは言い難い。
わたくしも数年前までは、御多分に洩れず、更年期への知識は「ない」に等しかった。この知識不足は、日本の女性に限られたことなのかもしれないと知ったのは、06年に出版された本、「性なる医療」との出会いからだ。当時ではタブーへの挑戦ともいえる「性と生殖」の医療レポートだ。そしてこれが世界標準の女性が持つ知識なのだと衝撃を受けた。
現在、就労人口が男女ともに最も多い「更年期」に対し、当事者も社会も知識不足を解消し、社会にとって重要な課題だということを認識してほしい。
小川陽子氏
日本医学ジャーナリスト協会 前副会長。国際医療福祉大学大学院医療福祉経営専攻医療福祉ジャーナリズム修士課程修了。同大学院水巻研究室にて医療ツーリズムの国内・外の動向を調査・取材にあたる。2002年、東京から熱海市へ移住。FM熱海湯河原「熱海市長本音トーク」番組などのパーソナリティ、番組審議員、熱海市長直轄観光戦略室委員、熱海市総合政策推進室アドバイザーを務め、熱海メディカルリゾート構想の提案。その後、湖山医療福祉グループ企画広報顧問、医療ジャーナリスト、医療映画エセイストとして活動。2019年より読売新聞の医療・介護・健康情報サイト「yomiDr.」で映画コラムの連載がスタート。主な著書・編著:『病院のブランド力』「医療新生」など。