人材不足解消の決め手に
2021年7月9日、厚生労働省社会・援護局福祉基盤課福祉人材確保対策室の「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」によると介護職員の必要数は、2025年度に約243万人、2040年度に約280万人となっている。
この深刻な介護職員不足への対策として国は、①介護職員の処遇改善②多様な人材の確保・育成③離職防止・定着促進・生産性向上④介護職の魅力向上⑤外国人材の受入環境整備など総合的な介護人材確保対策に取り組んでいる。
介護職の働き方改革支援は、国の掲げる5つの対策に対して②、③、④に該当する取り組みで、包括的に網羅した幅広い効果的な施策と言える。
介護職向けの週休3日制度では、8時間労働の週4日勤務ではなく、10時間労働の週4日勤務を推奨している。週32時間労働では、賃金水準を下げる必要があり、現在の業界ニーズにはマッチしない。週休3日制度では、週40時間の労働は確保しつつ、給与水準を下げない取り組みになる。
そして「人員を増やす必要がない」ことも魅力的である。休みが増えるのに、増員は必要ない。「想像がつかない・導入は難しい」という意見や「1日の労働時間が増えて負担が大きくなるのではないか」という意見が多く挙がるのは当然だ。
しかし、それが実現できるのである。その理由は、10時間労働シフトを組み込むことでもたらされる最大のメリット、「職員の重なる時間の増加」だ。
平均すると職員の勤務帯が重なる時間が約3倍増え、「複数ケアの実現でケアの質の向上」「休みが増えることによる生産性の向上」「業務改善」「残業時間の激減」「業務負担の是正」など、様々な効果が生み出されるのである。
介護職員不足の状況で、最も効果的であり、多くのメリットがある取り組み。それが週休3日制の魅力である。今回から半年にわたり、週休3日制導入のポイントを実際に導入した法人の事例を踏まえて紹介していく。
石塚正拓(いしづかまさひろ)
(株)オリーヴ 取締役副社長
大手宅配寿司会社にて、店舗運営部門の責任者、新規事業部門の責任者を経て現在に至る。取締役副社長兼トップコンサルタントとして、これまでのマネジメント・新規事業開発の経験を基に介護施設の状況に見合った寄り添うサポートを実施し、活躍中。