訪問介護事業所の運営においては、正社員、パート、アルバイトなどのスタッフを雇っていると思います。この時、事業所と訪問介護スタッフの間では労働契約が締結されることになります。

 

労働契約には、労働基準法を始めとする関係法令上遵守しなければならない事項が数多くあり、中でも労働時間の把握は重要です。労働時間の把握は、労働安全衛生法においては客観的な方法でこれを行わなければならないとされています。正社員など時間外労働が発生する可能性のあるスタッフに関しては割増賃金の有無の判断に関わってくるのでとりわけ重要です。

 

 

では、訪問介護における労働時間について見ていきましょう。

 

まず、訪問先で介護サービスに従事している時間は当然労働時間となります。また、訪問先に向かう移動時間も労働時間に含まれます。もっとも、自宅から訪問先に直行するときの移動時間は通勤時間として扱われます。そのため、例えば、自宅からAさん宅に行ってその後Bさん宅に行くという1日を考えると、自宅からAさん宅までの移動時間を除いて、Aさん宅からBさん宅までの移動時間を労働時間としてカウントすることになります。

 

スタッフの日々の動向に関しては、介護保険法に基づく「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」第24条を根拠とする訪問介護計画の中の月間勤務表などで把握できるかと思いますので、スタッフごとの労働時間はこの勤務表に基づいて把握していくのがよいでしょう。

 

訪問介護は管理する側から見えない場所での労働ではありますが、会社の安全配慮義務違反の防止にもなるなど労働時間の管理はあらゆる観点で非常に重要ですので、徹底するようにしましょう。

 

 

ちなみに、訪問先が急遽キャンセルしたことでスタッフの訪問がなくなるという場合も想定されます。

 

この場合、顧客都合のキャンセルではあるのですが、法律上は使用者の帰責事由による休業となります。たとえスタッフの稼働がなくとも基礎賃金の6割を支給する義務が生じますので注意しましょう。

 

 

その他、訪問介護スタッフの数が足りないなどの理由で、長時間労働が常態化するおそれや、労災事件に発展するおそれもありますので、時間管理は徹底しましょう。

 

 

弁護士法人ALG&Associates 執行役員・弁護士

家永 勲氏

 

【プロフィール】
不動産、企業法務関連の法律業務、財産管理、相続をはじめとする介護事業、高齢者関連法務が得意分野。
介護業界、不動産業界でのトラブル対応とその予防策についてセミナーや執筆も多数。

 

 

 

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