ICT化推進、入院ゼロ

 

社会福祉法人宣長康久会(富山市)では法人のブランド力向上の一環で、介護ロボット導入と、ICT化を進めている。夜間の事故、入院件数減少など、利用者のQOL向上と職員の負担減につながった。

そして、生まれた余裕を「法人の魅力発信」へと振り向けている。

 

法人は富山市で、特別養護老人ホームささづ苑(定員:従来型48名・ユニット型22名)を展開している。

法人で導入されている介護ロボット、ICT機器は表の通り。「先進的な事業に積極的にチャレンジする、という岩井広行理事長の方針があり、様々な取り組みを行っています」と村井博昭副施設長は語る。

 

 

村井博昭副施設長

 

 

10年に、生産性向上と情報共有、事務効率化のためグループウェアを導入。13年前後から腰痛予防に取り組む。

 

予算の枠組みを決定した上で、若手中心のプロジェクトチームを発足、現場職員が率先して取り組む方針となった。国の補助金を利用し、床走行リフトを導入。負担の少ない移乗方法が定着したことで、年間2~3名は発生していた腰痛による離職者はゼロになった。

 

 

18年にタブレット端末を活用した介護記録を開始。リーダー層を中心とした「ICT委員会」が勉強会を行うなど、職員のICTリテラシー向上を図った。タブレット端末の運用は現場の一部から導入。

 

そこで成功した後、法人全体で導入を進めていった。法人内で成功した事例があれば、「自分も使ってみたい」と感じる職員は多くなり、定着が期待できる。

 

 

職員が主体的にICTを活用している

 

 

 

転倒予兆に対応 生活リズム改善

 

現在、10名前後の職員に対してPC1台、タブレット端末1台といった具合に端末が行き渡っている。「PCの順番待ち」がなくなり、利用者と接しながらの記録も可能になった。

 

 

「私が居たデイ部門では、年間の残業時間は2~3時間になりました」(村井副施設長)。

これまでの取り組みでICT化に取り組む組織体制と、職員は一定のICTリテラシーが身についた。

 

 

19年、県の補助金を活用してパラマウントベッドの「眠りスキャン」を事故リスクの高い利用者から導入。現在はささづ苑の全床で使用されている。

 

転倒の予兆があるとき、職員は即座に対応できる。睡眠データは、日中の行動と照らし合わせて分析。睡眠が浅い人には日中、軽作業やリハビリの量を増やすといった対応で生活リズムを改善した。

 

19年9月の転倒・転落事故発生件数は44件。21年9月には17件へ減少。睡眠データの分析により、利用者が覚醒するタイミングに合わせて食事を提供することで、誤嚥性肺炎も減った。
これらによって現状では入居者の入院はゼロになった。

 

 

 

余力でケア向上 公益的な事業も

 

職員に生まれた余裕は、ケアの質向上や法人の魅力発信へとつながっている。

法人では、21年報酬改定で新設された「自立支援促進加算」の算定に向けた取り組みが始まっている。

 

地域イベントへの参加や、学校への出張事業といった公益的な事業も積極的に展開している。今年3月には、介護の魅力発信を目指すスピーチコンテストに村井副施設長が参加し、ファイナリストに選出されている。

 

 

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