千葉県御宿町は、持続可能な医療体制構築に向け、デジタル活用を進める。3月1日よりその第1弾として、Ubie(東京都中央区)の提供する診察の効率化に貢献するWEBシステムの利用を開始した。デジタル活用で医療の質を担保し、高齢者も安心して暮らせる町を目指す。

 

 

▲患者は最初に自宅のPCスマートフォンなどから「ユビー」へアクセス。AIからの質問に回答していく。終了後、回答の内容を青葉クリニックに送信し、電話で来院予約をする。窓口では、ユビーで事前回答したことを伝える。クリニック側では、患者からの回答が届き、来院前に患者の様子を把握できる。問診時間短縮による業務効率化と患者への一層適切な診療実現に貢献する。

 

 

Ubieは一般向けに「ユビー」サービスを提供している。患者はスマートフォンやPCで、AIからの「気になる症状を教えてください」「次のような症状はありますか」といった質問に回答していく。それによって適切な受診先や関連する病名を調べられるものだ。月間約500万人が利用している。

 

石田義廣町長

 

 

医療機関向けのサービスには、ユビーを利用した業務支援サービス「ユビーリンク」がある。同サービスに登録することで医院はユビー上でクリニックに関する詳細な情報を記載できるようになるほか、患者が回答した内容を事前に確認できる。

 

 

今回御宿町は、Ubieと地域医療のデジタル化に関して包括協定を締結、ユビーリンクの活用を後押しする。
具体的には、町の一般診療所青葉クリニックを受診する患者が事前に、ユビーに回答すると、その結果を同クリニックに送信可能になった。症状に関する情報を事前に取得できるため、クリニックではより一人ひとりに合わせた診療と、業務効率化が期待できる。また、町のHPにユビーシステムのリンクを設置するなど、町民への周知も積極的に行う。

 

 

Ubieは同クリニックでのシステム導入から活用までを支援する。
今回の連携に至った背景について石田義廣町長は、「コロナ禍により、持続可能な地域医療を構築する必要性が高まったため」であるとした。
町の人口は約7000人。太平洋に面し温暖な気候で、リゾート地として人気が高く、リタイア後の移住先にもなっている。高齢化率は51.6%で、県内で1位だ。町民から、医療・介護の充実への要望は高いという。

 

 

問診の時間短縮で診察質向上に貢献

その一方、町に病院はなく、青葉クリニック含む3軒の一般診療所がかかりつけ医として町民の健康を支えている。それぞれの負担は大きく、一人ひとりの患者に対応できる時間も限りがある。多種多様な症状を訴え来院する患者を、いかに適切に診察するかが課題となっていた。

 

 

石田町長は「町では今後、リモート診療など医療を始め、さまざまな部分でデジタル活用を進めていきたい」と語った。
医療資源不足などの課題から厚労省では、2024年からの「第8次医療計画」において地域に適切に医療資源が行き渡るように議論を進めている。

 

5月11日には、「第4回地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ」を開催した。
2008年以降国は、医学部の地域枠を中心に臨時的な定員増を図ってきた。そのような背景から総医師数は増加傾向にある。国の「令和2年度 医師の需給推計について」によると、23年の医学部入学者が医師となる29年頃、医師数は約36万人となる。
労働時間を制限するなどの仮定の下、同時期には医師の供給と需要が均衡し、以降は「医師あまり」状態になることが予測されている。

 

一方で、過疎地域の医療圏においては24%が08年以降も医師数が減少している。医師の過剰地域と過疎地域の格差は今後も拡大すると見られる。
同ワーキンググループでは、厚生労働省が医師の偏在の状況を示し、都道府県が医療計画を立てる上で必要となる「医師偏在指標」について、「見直しが必要」であるという声が多く挙がった。

具体的には「実感との乖離が大きい」「大学病院の有無の影響が大きい」「研修中の医師など1人前でない医師も1人としてカウントされている」など、医師の数のみで判断する点について改善を求めた。
各種改定が重なる24年に向け、見直しの議論が急がれる。

 

 

 

スポンサーリンク

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう