介護リフトなどを製造・販売しているモリトー(愛知県一宮市)は今月、介護リフト付きホーロー浴槽「OCTBATH(以下・オクトバス)」を発売した。同製品は最新式の介護用リフトを付けた浴槽リフト一体型。ボタン1つで操作可能で使いやすさにこだわっているという。森島勝美会長に話を聞いた。

森島勝美会長
―― 開発のきっかけは。
森島 ホーロー浴槽メーカーから「一緒に事業をやらないか」と声掛けがあった際に、元々介護リフトと浴槽を一体化したものを世に出したいと考えていたため、良い機会だと感じたからです。また、医療・介護現場でのヒアリングの中で「機械浴はあまり落ち着けない」などの利用者の声があり、個浴でき、かつ日本の生活に即したもので要介護度の高い高齢者でも入りやすいものを作りたいと思い、開発を始めました。
――こだわった点は。
森島 リフトとホーロー浴槽それぞれに重量があるため、重心を安定して保つことなどに苦労がありました。また、使いやすさやデザイン性、安心して使える点などに配慮しています。
――導入効果について。
森島 オクトバスの浴槽サイズは1400×700ミリとコンパクトなため、「狭いスペースに個浴を増やしたい」「リフトを用いた入浴ができる箇所を増やしたい」といった要望に応えられます。また、個浴のため利用者との会話の機会なども生まれやすくQOL向上に寄与できると感じています。そのほかにもホーロー浴槽は25年以上傷がつきにくく輝きを保ちやすいため、長期間の使用を想定した場合にも適しています。

ホーロー浴槽を採用
―― 想定される使用シーンは。
森島 高齢者施設や病院などで、浴室のバリアフリー環境が整っていない場合や、病院などで入浴環境が不十分な場合に役立つと思います。また、リチウムイオン電池搭載のため浴室外でも充電でき、外部電源や給排水工事が不要です。
――購入後の支援は。
森島 販売価格は単体からセット価格まで含めて231~253万円(税込)です。施設スタッフへリフトの使い方の勉強会などを開催していきます。また、年に一度のリフト動作、吊り具、浴槽の設置状況についての無料点検などのアフターフォローは最低6年間行う予定です。
――医療・介護業界でのリフトの浸透について。
森島 医療ではスリングシートなどが既に使われており、自立支援に対してもリフトの有用性が認められつつあると感じますが、介護現場でのリフト導入はまだまだだと感じています。特に介護では「80歳の介護スタッフでもリフトがあれば利用者の移乗ができる」など、ヘルパーの高齢化に対しても寄与できる点から今後必須になると考えています。また、昨年4月に立ち上げた一般社団法人「Fine介護研究会」での取り組みなどを通して発信したいです。

ボタン1つで簡単操作