各分野の専門家がチームで対応

 

自分の子どもが何らかの障害を持っている場合、親として最も心配なのは「自分が死んだ後に、子どもが生活していけるかどうか」だろう。各分野の専門家がチームを組み、そうした悩みを抱えた親子をサポートするのが、一般社団法人親なきあと 相談室 関西ネットワーク(大阪市)だ。藤井奈緒代表理事(共同代表)に話を聞いた。

 

藤井奈緒代表理事

 

 

 

メンバーの大半「家族が障害者」

 

 

――法人について教えて下さい。

藤井 設立は2019年です。現在9名の相談員と5 名のサポーターが在籍しています。私は終活カウンセラーですし、ほかにも相続専門の税理士、障害者相談支援専門員、社会保険労務士、司法書士、行政書士、ファイナンシャルプランナー、現職の介護・障害福祉事業所勤務者など様々な分野の専門家が在籍しています。

 

最大の特徴は、相談員・サポーターのうち12名は、自分の子どもや兄弟姉妹が障害者であるという点です。私も長女が障害を持っています。当事者としての自身の経験などに基づいた適切なアドバイスや支援が行えます。

 

 

 

成年後見では難しい部分も

 

――親や親族のいない障害者を支援する方法としては成年後見制度がありますが。

藤井 成年後見人は財産、例えば親の遺産の管理はしてくれますが、あくまでも「生活に必要な財産」としての管理です。当人の趣味や人生の楽しみのためにその財産を使うためのサポートまではしてくれないのが現実です。

 

 

当法人では、「親の生前は毎年一緒に温泉旅行に行っており、当人もそれを楽しみにしていた」という場合には、温泉に行けるサービスを提供する企業や団体とつなぐなど、成年後見制度では手の届かない対応を行います。

 

 

 

――活動範囲や料金などは。

藤井 関西一円で活動しています。また、私たちはフォーマル・インフォーマルを含め、世の中の様々な制度やサービス・商品と障害者当人・家族をつなぐことに徹しており、私たち自身で直接何かのサービスを提供することはありません。月に1回のペースで開催するオンラインセミナー以外は無料で対応しています。

 

 

――今後、力を入れていきたい点は。

藤井 一口に障害者といっても、身体、精神、知能など様々な種類がありますし、その程度にも個人差があります。さらに年齢の幅も広いので、一人ひとりのニーズは大きく異なり、私たちがとるべき対応も多岐に渡ります。少しでも細かいニーズに対応できるよう、一件でも多くの障害者向け制度・サービス・商品とつながっていきたいと思います。

 

 

――特に必要性を感じている商品・サービスは。

藤井 障害者向けの住まいです。障害者向けグループホームは増えていますが、幅広い障害者のニーズには応じきれていません。

 

特に、障害者や障害者福祉に関する知識・経験の浅い人や企業が新規事業として参入してきている住宅では、ハード・ソフト面で満足のいく質に達していないものが多く、一部の良質な物件に利用希望者が集中してしまっているのが現実です。

 

 

 

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