埼玉県の殺傷事件受け
一般社団法人全国在宅療養支援医協会(東京都千代田区)は5月12日、会員を対象に実施した在宅医療の安全確保についてのアンケート結果を報告した。約40%の医師が「身の危険を感じるような経験」をしていると分かった。
具体的な57件の事例について、17件(30%)が「恐怖を感じる脅し・暴言」と回答し、最多となった。「精神疾患の患者・家族」が12件(21%)、「ハサミ・刃物による脅し、暴力行為」が10件(18%)と続いた。また、暴力や物を投げつけられた、患者宅に軟禁された、脅迫電話や宗教団体・右翼団体を背景に脅された、などもあった。
同団体は、安全確保が重要であるとする一方、暴力や物を投げつけるといった行為については、認知症が影響しているケースもあり、抗議や法的責任を求めることが難しくなっているとした。
理不尽な要求、クレームからのトラブルについては、57%が「毎年または数年に1回以上」経験していると回答。具体例96件の内、「病気・状態に対する理解や治療方針」が43件に上った。
この調査は、今年1月に発生した埼玉県ふじみ野市で在宅医が患者遺族に殺害される事件を受け、今後の在宅医療の安全確保に役立てる目的で実施された。回答数は150件。