つしま医療福祉グループ(札幌市)は昨年9月に介護老人保健施設「日本医療大学病院リハビリ」を開設。認知症の入居者の緊張や不安を緩和するオランダ発祥の「スヌーズレン療法」を導入している。グループでは、運営する全施設への導入を目指し準備を進めている。

 

 

左から医療法人社団日本医療大学「介護老人保健施設日本医療大学病院リハビリ」・松永佳子課長、山崎敏幸介護課長、社会福祉法人ノテ福祉会・荒木めぐみ理事

 

 

 

グループは2021年、医療系総合大学の日本医療大学と同大学病院を移設。それに伴い、病院に併設する形で老健(定員80名)をオープンした。

「現時点でベッド稼働率は100%。約8割が地域の医療機関や在宅から入所している」(社会福祉法人ノテ福祉会・荒木めぐみ理事)
すでに加算型老健となっており、今後は超強化型を目指す考え。

 

 

認知症の周辺症状を鎮静化するケアを個別機能訓練(作業療法)の一環として行うため、「スヌーズレン室」を設置した。
スヌーズレン室では、様々な形状、色彩のライトを照らし、アロマを焚く。

さらにスクリーンを設置し、利用者の好きなものや興味の対象を映す。五感を刺激し感覚の不均衡を調整することで、症状を改善し作業への集中を促す効果があるという。

 

多職種カンファレンス時のアセスメントで、あらかじめ利用者ごとにPDCAサイクルを設定。スヌーズレン室の利用時間は1回約30分だが、状況に合わせ柔軟に決めるという。活動の内容は決めず、思いのままに過ごす。OTには、利用者に共感して寄り添い、よりリラックスできる空間をコーディネートする技術が求められる。

 

スヌーズレン室のスクリーン

 

 

スヌーズレン療法を導入しているグループの既存施設では、入所者の6割が利用しているという。
もともとは重度の知的障害児を対象とした同療法。オランダではすでに高齢者福祉でも活用されているという。

 

同グループでは10年程前から、日本医療大学と「産学連携」の一環として研究を推進。ノテ福祉会の特養に「スヌーズレン開発推進室」を設置し、そこを拠点として検証を行ってきた。

 

検証を通して、スヌーズレン室を利用すると長く会話が続くようになったり、歌や踊りを楽しむなど、精神的な安定をもたらす効果が見られているという。昨年より全施設への導入に向け準備を進めている。

 

本部で数ヵ月スヌーズレン療法について研修を受けたOTを各施設に配属。OTを基点に、現場スタッフに同療法を広めていく。

 

日本医療大学病院

 

 

 

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