福岡県久留米市を中心に、介護や障害、医療、フード、旅行など幅広い分野の事業を手掛け、職員約300人を有するいきいきグループ。デイサービスに始まり、どのように分野の幅を広げ事業を拡大していったのか。作業療法士として病院勤務からキャリアをスタートしている深井伸吾社長に話を聞いた。

いきいきグループ 深井伸吾社長
――事業内容は
深井 グループ内で4社、26事業を展開する(下図)。介護分野ではデイや訪問看護、サ高住など、障害分野では放課後等デイなど、医療分野ではリハビリクリニック、ほか旅行やセントラルキッチン、コンサルティング事業なども行う。
――事業展開に伴い、M&Aも行っている
深井 自宅で過ごすことが難しくなった利用者の入居先を確保するため、サ高住などを運営する会社のM&Aを行った。また、医療と介護の連携を図るべく、グループと連携する形でリハビリクリニックを開院。昨年10月に医療法人化した。パートナーの顧問税理士の協力を得て資金調達し、業界の人脈から情報を得て事業拡大につなげている。
――なぜ事業の幅を広げていったのか
深井 16年前起業し、デイの運営から始めた。利用者から「旅行に行けなくなった」という声を聞き、バリアフリー旅行事業を始め、障害をもつ子どもを育てる職員の声を聞き、障害分野にも着手した。「声」をすくい上げ実現することが当グループ最大の強み。
――ニーズがわかっていても、実現は難しい。なぜ可能なのか
深井 教育に注力し、職員の定着・成長を図っていることが根底にある。本部には「内部強化室」として経験値の高い職員を配置し、各事業所に定期訪問して業務のチェックや理念の浸透、相談窓口などの役割を持たせている。エリア長、介護職など役職や職種別に会議や研修も開催し情報共有の場としている。
また年に1回、全職員から新しいサービスや業務改善の提案を募る「いきいき未来創造・ベンチャー企画」を実施し、優秀な提案は実現させるなど職員の声も大切にする。
――今後の展望は
深井 対象エリアは広げず、地域に根付いたサービスを続ける。2年以内に、運営するクリニックの隣に複合施設の老人ホームを開設予定。医療や障害など既に行う事業の機能や知見をそこで活かし、相乗効果を図りたい。