在宅サービスにこだわり「業界の持続へ道筋」
創業25周年を迎えた、訪問入浴最大手のアースサポート(東京都渋谷区)。事業の要である「人材採用」「人材育成」にかける思いや事業展開などについて、森山典明社長に話を聞いた。

アースサポート 森山典明社長
全国に466拠点海外で展開も
アースサポートは、国内に466拠点、中国および台湾に6拠点を展開している(2022年5月時点)。在宅介護サービスをメイン事業で手掛ける中、アースサポートといえばやはり訪問入浴だ。
1996年に寝具衛生加工事業、訪問入浴事業で創業してから今年で26年目、森山社長が介護業界に足を踏み入れて49年。コロナ禍や昨今の円安の影響などについて話を聞くも「影響はあるが、これまでの流れで見れば微々たるもの」と話す。
中国事業は、現在約80名の職員を抱える規模となっているが、上海のロックダウンで2ヵ月間動いていない。しかしこれについても、「まる3ヵ月でロックダウンも完全に解除されるだろう。そうなれば元通りで、さして問題はない」そうだ。
新卒採用年80名 対面面接を重視
一方で、訪問介護の人材確保は他事業者同様に課題だという。中途採用の強化はもちろんのこと、事業の継続性を考え、新卒採用を重視。毎年約60~80名を迎え入れている。
採用活動においては、状況に応じてコロナ禍でも基本的に対面での面接を重んじる。「オンラインはお互い楽で、とても効率がいい。ただし、仕事というのは楽をした瞬間から質が下がるもの」と森山社長。「介護サービスでは、働くスタッフの質の高さが、サービスの質に直結する。オンライン面接が主流になる以前、何を大切にして、何のために走り回っていたのか。介護の仕事においては、それを今一度考えるべきだ」と。
外国人人材の活躍に期待も
アースサポートの訪問入浴は「技術を要する専門的な多職種チーム」という魅力を押し出すことで人材を確保してきた。
森山社長は「今後外国人技能実習生の在宅介護での活躍が認められれば、訪問入浴が最も適しているとアピールしたい。チームで動くため不安も少なく、専門職としての技術をしっかりと身につけて帰国することができる」と語る。
訪問介護については、「1人で身軽に働けることが訪問介護の魅力だったが、コロナ禍で人とのつながりが重要視されている。お客様との1対1のケアによるつながりが仕事の魅力。そこを押し出していかないと、人材確保は難しい」という。
先の経営見据え抱く2つの展望
「介護の仕事は、高齢者の生活を支えることだ。そのために在宅サービスが必要であり、これが充実していない中で、施設やデイサービスを増やしていこうとするのは、少し違う」というのが、森山社長の在宅サービスへのこだわりだ。
今後の展望の柱は2つ。1つは「生産年齢人口が著しく減少していく中で、介護業界が持続していくための道筋をつくっていかないといけない」という思い。
そしてもう1つは「会社に入ってきてくれた若い人たちが長く活躍できる道筋をつくっていかないといけない」という使命。「まだまだ元気だが、創業から25年かけて社内に優秀な人材を多数育成しており、経営体制の基盤強化に努めている」と先の経営を見据える。
「数年のうちにも、M&Aや合併、上場などに動く可能性は大いにある。ただし、やっていくことは基本的に変わらない。お客様、職員、すべての人々の生きがいを創出する『生きがい支援企業』として、常識に挑戦していく」(森山社長)

25周年を記念してポムポムプリンとコラボ