たまふれあいグループ(川崎市)は、在宅医療特化のクリニック(以下・CL)から介護、障害福祉、保健事業まで事業を展開する。

多摩地域の半径6キロメートルの範囲内にドミナント展開し、「たまヘルスケアクラスター」形成を図る。グループ代表の鈴木忠医師に、事業について聞いた。

 

鈴木忠代表

 

 

 

 

――グループの概要は。

鈴木 3法人から構成され、従業員総数は約160名。在宅事業としてCL、訪問看護、訪問リハビリ、居宅介護支援事業所を各1事業所。施設事業としてグループホームを2拠点で計5ユニット、看護小規模多機能型居宅介護、通常型デイサービスを各1事業所運営している。
ほか、就労移行支援など障害者多機能型事業所を運営。地域住民への健康相談も行い、在宅療養への関心を啓発する事業も行っている。

 

 

――CLからはじまり、地域密着で事業を広げる狙いは。

鈴木 いわゆる「地域包括ケア」というよりは、マネジメントや収益性の観点から構築している体制。
地域では、在宅医療機関、ケアマネジャー、介護事業者の利害が相互に対立し、CLだけを運営していては利用者の獲得が難しいと感じた。

地域の医療、介護を一体的に担うことで、最期までワンストップで当グループのサービスを利用してもらえる。多分野に事業を広げれば、報酬改定に収益が大きく左右される事態も防げる。

 

 

――組織体制上の特徴は。

鈴木 グループの窓口を1本化し、ソーシャルワーカーを5名配置している。問い合わせに応じて適切なサービスが提供できるよう調整を行う。

地域の病院から、まず当グループの窓口に連絡すれば、退院後の生活支援を柔軟に行ってもらえると認識してもらうことが目的。

 

 

――サービスにまたがる事業所間の情報共有も必要になる。

鈴木 全ての事業所に同一メーカーの記録ソフトを導入し、全スタッフで共有している。ただこれだけでは、利用者一人ひとりがどの医療・介護サービスを組み合わせて利用しているかを横断的に把握できない。そのため現在、利用者単位でサービスの利用状況を把握できるデータ管理システムを作成中だ。

 

 

GHで看取り体制強化

 

――利用者へのケアの点で、クラスター形成のメリットは。

鈴木 CLや訪看に在籍する医療スタッフが、介護施設のスタッフ教育を手厚く行うことで、GHなどでの看取り体制を強化できている。
医師は月に2回、看護師は毎週現場を回り、介護スタッフに医療的知見やエンゼルケア、褥瘡予防など、実技を交えた研修を実施している。

看取りに対応するには、施設のヘルパーが利用者の血圧、呼吸状態などの容態変化に動揺せず、適切なタイミングで医療スタッフと連携を図る判断力が求められる。当グループでも、当初はヘルパーが過度に動揺してしまい、不要に医療スタッフに連絡してしまうこともあった。

しかし研修などの取り組みでスタッフの経験値も上がり、現在GHでは9割以上の人が医療機関に移らず最期を迎えている。

 

 

グループホーム「たまふれあいの家 登戸新町」

 

 

 

 

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