ガソリンが高騰しています。私が住む千葉市では、レギュラーガソリンの価格が2年前から4割も上昇しました。他にも値上がりした品目は数え切れず、食品や消耗品だけでなく、建築費、修繕費なども上がっています。

 

しかもこれらの物価高は、一過性のものではなさそうです。ロシアによるウクライナ軍事侵攻も開始から3ヶ月が経ちましたが、いまだ停戦の糸口が見えていません。ドル円レートは、130円前後で推移しています。輸入品の値上げは、今後も続くものと見られます。コスト増を価格に転嫁できないのが介護事業です。影響を避けることは難しいでしょう。

 

これらへの対応策としては、以下の3つが考えられます。できるだけ早く着手すべきです。

 

 

対応策①設備投資
ある埼玉県の施設では、光熱費の高騰が一過性のものではないと判断し、駐車場に屋根をつくってそこに太陽光パネルを設置しました。売電するのではなく、自施設で使用しています。補助金も活用しており、うまくいけば6〜8年で投資回収も可能ということでした。他にも、照明をLEDにするなどの方法で、電気代を大幅に節約することに成功しています。

また別の居宅介護支援事業所、訪問看護を複数運営する事業者では、居宅訪問用の車両台数を減らし、電動自転車や普通自動車よりも燃費の高いスクーターを増やすことで、コスト削減を図っています。

このような設備投資は、一時的には負担が大きいですが、長引く燃料高、物価高には有効な手立てです。太陽光パネルや照明器具も年々高くなっているため、実施するならなるべく早い段階で行うべきです。

 

 

対応策②業者の変更
ある兵庫県の法人では、食材の仕入を卸業者から農家からの直接買い付けに変更しました。商品としては流通しない規格外品なども仕入れることで、コストダウンできました。さらに特養では、朝食をチルド食に変更し、厨房調理からユニット調理にすることで、人件費の抑制と調理時間の圧縮に成功しました。

 

ほかにも、ある三重県の介護付き有料老人ホームでは、同法人で運営する就労継続支援事業所に洗濯、清掃を委託しています。もともとはコストダウンではなく、障害者の就労の場作りが目的でしたが、結果的に日中の間接業務を担う職員を減らすことができたため、人件費抑制につながりました。

 

 

対応策③ICT化
ICT化のメリットは、本連載でも度々お伝えしています。特に、業務時間中に行うことができず、時間外に行っている計画書作成、記録、入力などの作業をICT化することができれば、残業代の削減だけでなく、業務負担の軽減にもつながります。

弊社でも、デイサービスの送迎表作成や、動画による教育、計画書作成など、様々な分野のシステムを扱っていますが、導入コスト以上の大幅なコスト削減につながっています。

これら3つ以外にも「オペレーションの改善」や、「1対多プログラム(1人のスタッフで多くの利用者を対象にできる)の導入」など、コスト削減策は多々あります。ぜひ、一刻も早く検討しましょう。

 

 

あなたの動きで未来が変わる

 

ここで重要なのは、現場職員からはこのような視点の意見は出ないということです。大きな設備への投資はもちろん、業者の見直しやICT機器、ロボットの導入などは、現場レベルでジャッジできることではありません。経営者か、この連載を読む施設長以上の皆さんしか、この難局を乗り越える判断はできないのです。

 

繰り返しになりますが、物価高は一過性のものではありません。しかも、2年後の介護報酬改定では、プラスになるという楽観的な予測はできません。きっと厳しいものになるでしょう。

 

動き出すべきときは〝いま〞です。なんとか知恵を絞って、物価高を乗り切りましょう。

 

 

糠谷和弘氏 代表コンサルタント ㈱スターコンサルティンググループ
介護事業経営専門のコンサルティング会社を立ち上げ、「地域一番」の介護事業者を創り上げることを目指した活動に注力。20年間で450法人以上の介護事業者へのサポート実績を持つ。書籍に「介護施設帳&リーダーの教科書(PHP)」などがある。

 

 

 

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