「看護師に医行為を」と日経

 

政府の規制改革推進会議が5月27日にまとめた答申で、訪問看護師の業務の一部を薬剤師が担えるようにと「タスクシェア」の検討が入った。

 

「薬剤師、看護も分担」(5月28日の毎日新聞)、「薬剤師、点滴交換も」(同日の読売新聞)と薬剤師の業務が注目されたが、6月1日の日本経済新聞の社説は、タスクシェアで「医師の業務独占分野にもメスを」と切り込んだ。

 

「看護師が医行為を行えるよう法改正すべき」と提言した。その通りだろう。「米国やカナダではワクチンを打つのは薬剤師の仕事」と海外事例を挙げ、日本の「医師の聖域」が時代遅れだと説く。

 

 

 

社説では5月29日にかかりつけ医を論じた産経新聞にも着目したい。全世代型社会保障構築会議での提案を評価し、「機能発揮できる制度化を」と主張。「首を傾げるのは、かかりつけ医の制度化を認めないとする日本医師会の考え方である」と真っ当な指摘だ。

 

コロナ禍でかかりつけ医への不信が高まり、制度化は焦眉の急だ。6月1日の毎日新聞は、家庭医を推進する日本プライマリケア連合学会の草場鉄周理事長へのインタビューで「かかりつけ医に研修を実施して認定すれば」と制度化のプランを引き出した。

 

光を放ったのは5月30日の東京新聞の社説だ。「精神科の拘束 患者の立場で見直しを」と厚労省案の拘束要件に異を唱えた。「治療が困難」を要件に加える案で、拘束の拡大につながると断言。「第三者の目を届かせよ」とも。6月6日には被害事例も上げた。

 

疑問を抱かせる社説もあった。6月2日の毎日新聞と東京新聞は、共にマイナ保険証を取り上げ、「国民の視点を欠く」「強引な普及慎むべき」と否定論を展開。マイナンバーの普及による社会的メリットは米国や北欧で明らか。医療界のデジタル嫌いに風穴を開ける第一歩のはずだ。

 

 

 

昨年の出生数が前年比約3万人減で過去最少になった。コロナ禍で非正規労働者の「雇用の不安定さ影響」(6月4日の毎日新聞)、「婚姻急減」(同日の読売新聞)と理由を挙げる。

 

だが、同日の紙面に別の理由を示す記事が出ていた。「女性版骨太の方針」で「男女賃金差 開示義務化」(読売新聞、朝日新聞)を決めたとある。男女差別こそ少子化の主因だろう。

 

「少子化 保育現場に危機」と、保育園児が減少を続ける青森県の過疎地をルポしたのは同日の朝日新聞。大都市では待機児は消えてない。危機をあおるだけのピント外れの記事だ。

 

 

 

浅川 澄一 氏
ジャーナリスト 元日本経済新聞編集委員

1971年、慶応義塾大学経済学部卒業後に、日本経済新聞社に入社。流通企業、サービス産業、ファッションビジネスなどを担当。1987年11月に「日経トレンディ」を創刊、初代編集長。1998年から編集委員。主な著書に「あなたが始めるケア付き住宅―新制度を活用したニュー介護ビジネス」(雲母書房)、「これこそ欲しい介護サービス」(日本経済新聞社)などがある。

 

 

 

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