障碍社(東京都町田市)は障害者向けの重度訪問介護を主体とした訪問介護事業、相談支援事業などを展開している。利用者の主体性を尊重するために、北欧の障害福祉制度をモデルにサービスを提供。利用者がヘルパー採用活用からシフト管理まで関わっている点が特徴だ。

 


職員採用からシフト管理まで


同社は2005年設立。事業エリアは、町田市を中心に隣接する地域。重度訪問介護事業所4ヵ所のほか、就労継続支援B型事業所も運営している。職員数は全事業合わせて244(非常勤含む)。売上高は2020年度で約86000万円となっている。

 


同社が提供するサービスは、「セルフケアマネジメント」という考え方に基づく。利用者自身がケアの方向性の決定やマネジメントに積極的に介入する。安藤信哉社長は、「利用者を『組織の一員』ととらえています。責任を持って自身で生活をつくることが満足度につながります」と語る。

 

安藤信哉社長

 


例として、同社のヘルパー採用時には、利用者がどのような媒体にどういった条件で募集を出すか、コーディネーターと相談しながら決める。最終面接にも参加し、相性も加味して正式採用に至る。シフト管理にも関わっており、急なシフト変更なども利用者自身が対応。ヘルパーの就労環境を利用者が作り上げるルールだ。これによってヘルパーも定着が進み、正規職員の離職は近年0%を維持している。

 


セルフケアマネジメントの実践により、シフト調整を始め、利用者とのトラブル対応にかかる手間、離職者が出た場合の求人募集などのコストを低減。また、関係者の口コミで取り組み内容が広まっていったこともあり広告費用も減るなど、間接的な費用が削減された。その分をヘルパーの職遇改善に充てており、常勤職員の平均年収は506万円と業界平均(357万円)を上回っている。

 


この取り組みは、北欧デンマーク発祥の「パーソルアシスタント制度(オーフス方式)」がモデルとなっている。同制度では、生活を支援するヘルパーを障害者自身が雇用し、マネジメントする。教育や解雇も障害者本人の責任の下で行われる。その分、障害者の持つ裁量は大きく、主体性のある暮らしが可能だ。安藤社長は、このエッセンスを日本の障害福祉サービスに取り入れることを目指したという。

 

 


同社では障害者の雇用にも力を入れており、その数は現在23名、全職員の約10%だ。利用者が就職するケースも多い。

障害者の社会参加を促進する目的もあるが、安藤社長は「障害当事者だからこそ、ピアサポート(不安や悩みを傾聴し、適切な支援をする活動)で活躍できる」と語る。

 


加えて、21年度障害福祉の報酬改定にて、障害当事者がピアサポートを行う「ピアサポーター」の活動を評価する加算も新設されており、その存在の重要性が増している。

 


今後は福祉用具事業を始めとした新規事業、フランチャイズによる全国展開も視野に入れている。安藤社長は、「20年代の間に、障害者福祉の総合企業として法人を成長させることを目指します」と意気込みを語った。

 

障害の当事者が積極的に運営に関与することが差別化につながっている

 

 

 

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