「地域医療支えた」と朝日新聞

 

地域医療の星、長純一医師がすい臓がんで亡くなった。佐久総合病院の若月俊一医師の後継者として知られていたが、被災者支援のため石巻市に移住して周囲を驚かせた。
地域包括ケアを根付かせるには政治主導で、と石巻市長選、宮城県知事選に立候補したばかり。

 

「復興を患者を見つめて」と死を報じたのは6月29日の朝日新聞夕刊だけだった。希望通りの自宅死の経緯が記され、10年前と死の直前の写真が印象的ないい記事だ。

 

 

6月20日の日本経済新聞は、同社と日経研究センターが発表した医療改革提言を大きく報じた。「家庭医制度の導入を」「総合診療専門医を家庭医制度のけん引役に」とあるべき姿を具体的に描く。その通りだろう。

 

かかりつけ医の制度化で実現できるのが家庭医。制度化は骨太の方針でも強調された。その推進主体、日本プライマリケア・ケア連合学会の草場鉄周理事長が6月22日、朝日新聞のインタビューに応じ、「フリーアクセスに反するのでは」と問われて、「受診の自由と診療の確実性、どちらを優先しますか?という話だと思います」と答えた。
これでは分かりづらい。重複検査や多剤服用などフリーアクセスの弊害をきちんと指摘すべきだろう。記者も対立軸を明示して問うべきだった。

 

かかりつけ医の制度化には、産経新聞も後押し派だ。7月2日の社説で日本医師会の新執行部に対し「医師のための行為が、患者のためにならない場合がある」と指摘。かかりつけ医の制度化は「患者第一で実現すべき」と訴える。

 

 

7月6日の読売新聞夕刊は1面トップで「サ高住『職員常駐なし』容認 国交省方針」「昼間、通報装置設置で」と規制緩和策を報じた。併せて「国や都道府県は入居者の安全安心のため事前チェックすべきだ」と記者が記す。
かねてから「サ高住は危うい」と指摘し続けてきた読売だけに、今回も規制緩和に否定的だ。だが、サ高住は介護施設ではないという事実を忘れてはならない。

 

 

映画「PLAN75」がカンヌ映画祭で受賞し、多くの記事が出ている。57歳以上に安楽死を推奨する日本の近未来を描いた。6月24日の朝日新聞は主演の倍賞千恵子の写真付きで紹介したが、安楽死を尊厳死と誤って記した。延命治療を断る尊厳死は、今でも可能で広く実施されている。テーマそのものだけに、重大な誤報になった。

 

 

「ファミレスで認知症語ろう」(4日の産経)、「『看多機』創設10年」(6日の読売)も見逃せない記事だ。

 

 

 

浅川 澄一 氏
ジャーナリスト 元日本経済新聞編集委員

1971年、慶応義塾大学経済学部卒業後に、日本経済新聞社に入社。流通企業、サービス産業、ファッションビジネスなどを担当。1987年11月に「日経トレンディ」を創刊、初代編集長。1998年から編集委員。主な著書に「あなたが始めるケア付き住宅―新制度を活用したニュー介護ビジネス」(雲母書房)、「これこそ欲しい介護サービス」(日本経済新聞社)などがある。

 

 

 

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