一般社団法人日本慢性期医療協会(東京都新宿区)は、6月30日に通常総会を開催した。医療法人社団和風会「橋本病院」(香川県三豊市)の橋本康子氏が新会長に選出され、新体制が動き出した。これまで14年にわたり会長を務めた武久洋三氏は退任し、名誉会長となる。

 

 

 

実績示し、国に加算要求を

 

橋本新会長は、慢性期医療従事者が中心となって介護人材不足の問題に取り組み、地域を支えるモデルを作っていくことが必要と強調。「日慢協は、『寝たきりを生まないヒント』を多く実践している。このノウハウを医療・福祉社会に発信すること、慢性期医療の質を向上させることを使命として活動していく」と述べた。

武久氏が打ち出してきた「良質な慢性期医療がなければ日本の医療は成り立たない」を引き継ぎ、更なる発展に寄与していく構えだ。

 

 

なお、副会長は池端幸彦氏(池端病院)、安藤高夫氏(永生病院)、矢野諭氏(多摩川病院)が続投し、加えて新たに井川誠一郎氏(豊中平成病院)が就任。事務局長には富家隆樹氏(富家病院)が就任した(写真参照)。

 

 

向かって右から矢野諭副会長、池端幸彦副会長、橋本康子会長、安藤高夫副会長、井川誠一郎副会長、富家隆樹事務局長

 

 

 

総会後には、退任する武久氏の記念講演会を開催。これまでにおける日慢協の提言の成果、今後の医療提供体制について提言。

今までの診療報酬や介護報酬改定において、▽アメリカのLTAC ( 長期急性期病床)の日本版と言える地域包括ケア病棟の新設、▽介護医療院の新設、▽排尿自立指導料や排尿自立支援加算、介護サービスの排泄支援加算の拡充--などの背景には、日慢協の提言があると説明。

 

「加算があるから実践するのではなく、患者にとって良いと思われることは実践してみて実績を国に提示し、加算を新設してもらう姿勢が重要」と武久氏は語る。

 

 

さらに今後に向け、慢性期病棟における高齢者の救急対応や「地域多機能病院」の推進、総合医の育成、急性期病院入院中の要介護者発生防止のための基準介護・基準リハビリテーション追加、などに注力すべきと言及。ほか、急性期病院での「栄養・水分摂取の軽視」「リハビリテーション軽視」「身体拘束」など、未だ残る様々な課題にも向き合うべきと訴えた。

 

 

武久氏の記念講演会の様子

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