道内を中心に約70拠点で介護事業を展開するMOEホールディングス(札幌市)。新規開設のほか、指定管理者として自治体の施設運営を手掛けるなど事業規模を広げている。安定した人材確保や食事提供、サービス均質化に注力している。

 

 

現在、道内4市町村で指定管理者の指定を受け、特別養護老人ホームやデイサービスなどを運営する。今年4月には、グループの医療法人社団萌水会が介護老人保健施設、デイケア、訪問リハビリが一体となった複合施設「モエズガーデン小樽」を開設。2018年には道南で介護事業や調剤薬局を手掛けていたテクノスコーワと合併するなど、M&Aも積極的に行ってきた。今後も新規開設に加え、M&A、事業承継を行いながら事業を拡大していく方針だ。今年中にも数件の成立を見込んでいるという。

 

 

拡大戦略と並行して、「食事」「人」「サービス」を強化し安定した事業展開ができる体制構築に注力してきた。「ようやく基盤が完成しつつある」と水戸康智社長は語る。

 

水戸康智社長兼CEO

 

20年末には、セントラルキッチン「MOE'sキッチン」を開設。クックチル開発も自社で行った。1日約4000食、同社の全施設に配送している。最大で1日7000食のキャパシティを持つため、事業所数が増えてもすぐに対応が可能だ。

 

 

人材面では、徹底した業務の細分化で業務効率化、人材確保につなげる。同社のシフト体制は、日勤帯にパートスタッフやシニアスタッフが中心となり業務をこなす体制。夜勤帯や人員が足りない時間帯を中心に常勤スタッフが活躍する。「傾聴」「見守り」「リハビリ補助」など業務を細分化し、各スタッフが特定の業務に特化することで効率を上げる。

 

数時間から就労可能とすることで、求人応募件数も安定しているという。「現在約1400人のスタッフが働いているが、人材派遣は一度も使ったことがない」(水戸社長)

 

 

離職のほとんどは職員間の〝不公平感〟に起因するとして、給与制度も〝見える化。すべての業務を「軽」「中」「重」の3段階に振り分け、重い業務内容をこなすほど時給が上がる仕組みだ。資格取得状況に加え、同社が年1回行う検定試験の結果なども時給に反映する。自らのスキルや負担が適切に評価されている実感が勤労意欲につながる。

 

職員の働きやすさを追求する一方で、これらの取り組みが最終的に「サービスの質」として現れなければならないことは常に意識しているという水戸社長。「現場にとっての業務効率向上は、事業にとっての生産性向上に必ずしもつながらない」(水戸社長)

 

 

介護を〝属人的〟とせず、スタッフ全員がまず80%の完成度のサービスを提供できる仕組みづくりを進める。機能訓練では、同社オリジナルの動画をスクリーンに流し、利用者はそれを見ながら機能訓練を行う。リハビリ専門職は補助的に利用者をサポートする形とし、スタッフ個人の技術にサービスが左右されるのを防ぐ。

 

本部で全スタッフの面談を行い、独自開発したアプリケーションで全スタッフのコンディションを把握するなど、本部の役割を重視する運営体制を敷いてきた同社。現在、さらなる本部機能の強化を図っているという。エリア毎に責任者を配置する体制だったが、本部職員を20人から40人に増員し、全拠点を包括的に管理する体制へ移行する。

 

外国人人材事業も本格化する。来年年明けより人材教育会社とタイアップし、インドネシアの技能実習生の教育事業を開始するという。

 

 

4月に開設した「モエズガーデン小樽」

 

 

 

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