7月10日、参議院選挙が終わりました。結果を踏まえた介護業界への影響と総括について論考したいと思います。自民党が大幅に議席を増やし、野党は一部を除き大きく議席を減らすとともに、諸派が議席を増やす結果となりました。

 

注目すべきは、業界力のバロメーターと言われる比例区です。日本医師連盟などの医療関係団体が推薦する組織内候補者は全て当選を果たし、全国介護福祉連盟が推薦し、介護関係団体の多くが協力した候補者は当選できませんでした。医療業界の政治力の底堅さが示され、介護業界の政治への関わりの弱さが露呈したと言えます。

 

 

 

この結果を踏まえて、これから改正介護保険法案が年内中に取りまとめられ、年明けより次期介護報酬改定に向けた議論が本格化していきますが、介護関係団体組織内候補者が不在の状態で、国会の場で審議が行われることとなります。さらには、政府や自民党内でも選挙結果に対する分析を経て、上述したことと同様の受け止め方となるでしょう。次期報酬改定は厳しい論調で、給付抑制の議論が行われることになると思います。

 

加えて、今後の議論の中で注視すべきは、処遇改善に関する議論の行方です。2月より補助金が創設され、10月より「介護職員等ベースアップ等支援加算」として報酬に組み込まれます。岸田総理は、さらなる処遇改善の検討方針を示しており、次期報酬改定において処遇改善関連加算のさらなるプラスの可能性もあり、有り難い半面、その際は基本報酬単位やそのほかの加算がマイナスとなる可能性が高くなるため、処遇改善関連加算の議論のゆくえが事業者にとっては大きな影響を及ぼすこととなります。

 

 

一方で、今回の選挙結果が必ずしもマイナス改定に直結することはないと思います。報酬改定に関しての決定は、各見直し項目について給付費分科会を中心に議論され、厚労省と関係団体との調整によって決定されるため政治関与は限定的です。

 

さらには、次期報酬改定は診療報酬・介護報酬の同時改定であり、改定率は例年通り、まず診療報酬の改定率が決定し、その数字に準じた介護報酬の改定率となる可能性が高く、今回の選挙によって医療業界が改めて政治に対する強い影響力を示した結果が、介護報酬改定にもプラスになると思います。

 

 

しかし、中期長期的には社会保障改革への動きは待ったなしであり、介護業界が政治力を示すことができなかったことで、医療業界主導による社会保障改革の構図に変わりはないことから、介護業界にとっては大きな課題を残したことは間違いありません。

 

 

 

 

斉藤正行氏 プロフィール
2000年3月、立命館大学卒業後、株式会社ベンチャーリンク入社。メディカル・ケア・サービス㈱の全国展開開始とあわせて2003年5月に同社入社。現在の運営管理体制、営業スキームを構築し、ビジネスモデルを確立。2005年8月、取締役運営事業本部長に就任。2010年7月㈱日本介護福祉グループ副社長に就任。2018年4月㈱ピースフリーケアグループ代表に就任。2018年6月、介護業界における横断的・全国的組織となる一般社団法人全国介護事業者連盟を結成。㈱日本介護ベンチャーコンサルティンググループの代表を務めている。

 

 

 

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