「かかりつけ医とは?」と朝日新聞

 

8月2日の朝日新聞が「かかりつけ医とは? 医師ら議論開始」と、かかりつけ医問題を取り上げた。他メディアにない良い着眼点だ。

日本医師会の定義や患者との「ミスマッチ」、厚労省の検討、さらに登録制への賛否など関連情報をまとめた。だが、コロナ禍での「失態」には斬り込み不足となった。
かかりつけ医は日本医師会の「発明」で、厚労省は定義すらしていないという歴史的事実にも触れていない。英国のGPを「かかりつけ総合診療医」と「誤訳」したのも気になる。日本だけの用語を抱き合わせた造語は分かり難い。GPは家庭医のことだ。

 

 

「平均寿命10年ぶり縮む」「コロナ死者増が影響」と7月30日、各紙一斉に前日の厚労省発表を報じた。コロナで大勢死んで寿命を押し下げたような書きぶりだ。

だが、コロナ死者は全死者の1.16%に過ぎない。読売新聞だけが「20年に感染症対策の徹底で死者が減り、平均寿命が過去最高になった。21年はその揺り戻し」と名古屋市立大教授の指摘を掲載。疑問点を解消してくれた。「怖いコロナ」の押し売りは避けたい。

 

 

日本感染症学会など4学会が2日に発した緊急声明が波紋を呼んだ。「発熱外来 受診目安公表」「65歳以上、基礎疾患、37.5度4日間」と毎日新聞が3日に最も大きく伝えた。「風邪と違いがない。自宅療養で」と同学会の理事長談も掲載。

これに対し東京新聞が5日、「コロナ対応ふりだし?」「37.5度、4日以上再び」と、2年前に同様のルールが批判されたと反論。テレビ出演の多い医師の「受診や検査を抑制するような学会の呼びかけは不適切だ」とダメ押し。

 

ところが、4日に厚労省が学会声明に追随し、「厚労相『軽症なら受診避けて』」(5日の朝日新聞)と都道府県に通知した。東京新聞は6日に、「厚労相、学会声明を追認」と1日遅れで追いかけ、「37.5度以上の発熱が4日以上については、受診抑制への懸念から通知には盛り込まなかった」と記す。「わが意を得たり」だろう。
「不適切」と批判した医師と学会との見解の相違をより深めて欲しかった。コロナ禍で、危機感をあおる医師の一方的な発言が目立つ。メディアは賛否の議論の場を設けるべきだろう。

 

 

読売新聞はシリーズ「医療ルネサンス」で1日から6回「変わる看護師」を連載した。緩和ケアや特定行為、感染管理、暮らしの保健室など新領域へ挑む看護師たちを追った。医師からのタスクシフトは日本の課題だ。

 

 

 

浅川 澄一 氏
ジャーナリスト 元日本経済新聞編集委員

1971年、慶応義塾大学経済学部卒業後に、日本経済新聞社に入社。流通企業、サービス産業、ファッションビジネスなどを担当。1987年11月に「日経トレンディ」を創刊、初代編集長。1998年から編集委員。主な著書に「あなたが始めるケア付き住宅―新制度を活用したニュー介護ビジネス」(雲母書房)、「これこそ欲しい介護サービス」(日本経済新聞社)などがある。

 

 

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