看護師が、地域で看護・介護の訪問ボランティアを行うNPO法人キャンナス(神奈川県藤沢市)は、現在全国約150ヵ所に拠点を広げている。医療・介護保険制度などの基準に縛られず、家族に代わってケアを提供し好評を得ている。拠点数を伸ばす理由、看護師が活躍する背景を菅原由美代表に聞いた。

 

菅原由美代表

 

制度に縛られずケア 行動力ある人材活躍

 

 

――コロナ禍においても拠点数が増え、活動の幅も広がっています

菅原 1997年から活動を始め、2019年には約130ヵ所でしたがコロナ禍以降も年4〜5ヵ所増やし、今年は既に150ヵ所を超えました。「通院中の介助をしてほしい」「医療行為が必要な障がい児を見守ってほしい」など、医療・介護保険制度・障害者福祉制度の枠に促われず、介護のお手伝いをしようというのが出発点。〝できる( Can)ことをできる範囲で行うナース(Nurse)〞という意味でキャンナスと名付けました。有償のボランティア活動であり、拠点によりますが謝金は1時間1200〜2500円ほどいただいています。

 

東日本大震災の時に避難所に駆けつけ支援を行って以来、大規模災害時には各現地に入るようになり、災害ボランティア団体と思われている方もいるようです。コロナ禍では看護師に呼びかけ、クラスターが発生した施設に行ってもらったこともあり、もちろん職場でも奮闘しています。

 

 

 

――キャンナスで活躍する看護師が増加した背景を聞かせてください

菅原 看護師の勤務地や人数にかかわらずキャンナスを名乗れることが1つのポイント。理念を共有し、理解を得ることを徹底した上で、行動力がある人に自己決定・自己判断・自己責任の下、活動してもらっています。

 

設立当初、家庭に入り免許を活かせていない潜在看護師に活動を呼び掛けていました。現在は、病院・介護施設で勤務しながら活躍する人もいます。訪問看護ステーションを経営する看護師も多く、訪看だけではカバーできない部分にニーズを感じ、キャンナスと並行してケアを提供しています。

 

今後も本人や家族の望みは多様化し、有償ボランティアや自費サービスの需要は高まっていくでしょう。自己責任で行動できる看護師を社会は求めていますし、それに応える看護師が増えていると感じます。

 

 

 

――一方で、医師を伴わず1人で訪問することに看護師が不安を感じ、二の足を踏むケースがあると聞きます

菅原 病棟では指示待ちが当たり前ですから、そう思う人もいるでしょう。現場では、「看護師がいるだけ」でも皆安心してくれる、と伝えています。「何かあったらどうしよう」といった声もありますが、予め想像できることは準備し、想定外のことは医師につなぐなどその時に「判断できる」ことが大事。

 

看護師に求められるのはコミュニケーションが8割、技術は2割と伝えています。長く現場を離れていた人も、キャンナスの活動は基本的には介護が多いため、復帰のハードルは低い。できることから始める、という考えもあります。

 

 

 

――では、介護事業所において看護師が働きやすくなるには

菅原 介護事業所では、圧倒的に介護職の数が多く、看護師は少数派となります。そのため、看護師が悩みを持った場合に相談できる機会や看護師同士で顔の見える関係をつくることが必要です。

 

一方で看護師も、介護記録などにはK T(体温)など略語や難しい医療用語を使わないようにすべきでしょう。言葉1つとっても、介護職、看護職がお互いの専門職の努力を認めて理解し合う姿勢が重要です。

 

熊本地震の際にも避難所へ駆けつけた

 

 

 

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