かかりつけ医議論 希望は〝在支病〟

 

地域包括ケアシステムの構築に向け、医療、介護、在宅医療、教育などを幅広く手掛ける志村フロイデグループ(茨城県常陸大宮市)。母体となる志村大宮病院を運営する医療法人博仁会()の鈴木邦彦理事長は、公益社団法人日本医師会の常任理事を2010年より8年間務めたのち、20年より茨城県医師会の会長に就任。

 

医療と介護、医療法人と行政が連携することで、地域における広範な医療・介護体制を維持・拡大する鈴木理事長に話を聞いた。

 

医療法人博仁会
鈴木邦彦理事長

 

 

 

 

同グループでは、博仁会のほかに社会福祉法人博友会や、看護師・介護福祉士の専門学校である学校法人志村学園も運営。鈴木理事長は、これら全てで理事長を務める。母体の志村大宮病院は地域密着型の中小病院だ。


常陸大宮市の高齢化率は現在約38%に上り、これは推計される2040年の日本の平均値と同等となる。「高齢化が進んだ地方では、医療だけでも介護だけでも、到底高齢者を支えられない」と鈴木理事長は語る。

 

同グループでは、県央から県北西部において、東西30キロ、南北50キロに及ぶ範囲で事業を展開している。高齢化と人口減少が進む中、06年に市内に公的病院が建てられたことをきっかけに、リハビリと介護に注力し機能分化。病院は急性期病棟や回復期リハビリ病棟、緩和ケア病棟、医療療養病棟を有し、必要に応じて周辺地域に拠点を増やしていく中で、常陸大宮市、水戸市、ひたちなか市、笠間市の4つのエリアでケアタウンを形成してきた。

 

中でも、志村大宮病院を中心としたまちづくりにおいては、これを「共生型CCRC」と位置づけ、地域の医療法人が主体となってハード面を整備。地域活性化に向けて、同グループ法人内の多岐にわたる専門職で構成されたプロボノ集団「フロイデDAN」がソフト面の一部を担っている。地域の公園でのイベント開催や「子育てカフェ」「まちなかサロン」の運営など、その活動は幅広い。病院が主体となってまちづくりを進めるケースは珍しいだろう。

 


「最初は病院周辺のみで進めていたが、20年も続けていたら規模も大きくなり、行政の計画に組み込まれることとなった」と鈴木理事長。

茨城県医師会の会長としての活動も伴い、「高度急性期大病院の計画的整備による集約化」「地域密着型中小病院の分散化」「かかりつけ医機能のさらなる充実・進化」の3つを柱に、医師会と行政が連携した地域包括ケアの深化・推進が行われている。

 

「当グループは全体で600床ほど。病床にこだわらずとも、特養や老健、住宅型有老、サ高住なども活用することで高齢者を支えていける」(鈴木理事長)

在宅と言えばかつては「自宅」だったが、こうした「施設的在宅」の選択肢も取られるようになって久しい。1グループの中で医療と介護が完結し、地域で暮らし続けることができるという、地域密着型中小病院を核とした地域包括ケア構築の先進事例といえる。

 

 


鈴木理事長は「日医在任中にやり残したこと」として、地域包括ケアシステムの構築、地域密着型中小病院・有床診療所(在支病・在支診)の病院機能の確立、かかりつけ医機能の充実・強化、の3つを挙げる。そして現在、これらの3つに法人内外から取り組んでいる。

 

については、日医退任後の14年に日本地域包括ケア学会を設立、毎年日医と共催で大会を開催している。
については、今年6月に一般社団法人日本在宅療養支援病院連絡協議会を設立。また、中小病院の機能を高め、ソロプラクティス(単独開業)の医師に対し、医師会と連携して支援することも視野に入れているという。

 

 

に関しては、日医が7月にかかりつけ医に関するワーキンググループを発足したが、これに携わっている。また、鈴木理事長が常任理事を務めていた頃に発足した「日医かかりつけ医機能研修制度」は、現在では年間約1万人の医師が受講する、日医最大の研修になった。

 


かかりつけ医機能の充実・強化の実現については、「今後の超高齢社会におけるかかりつけ医機能に対応できる存在として、在支病は重要な役割を果たせる」と鈴木理事長は語る。フリーアクセスのメリットを残しながら、日本型で対応可能な形を模索するにあたり、在支病の機能強化・確立が目指される。

 

 

 

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