ロボテ(横浜市)の髙橋健一社長が、「ICT×医療×介護」をキーワードに話題の人や企業へインタビュー。今回は15万部を突破した人気書籍、「認知症世界の歩き方」著者である「NPO法人イシュープラスデザイン」の代表でデザイナーでもある筧裕介氏に、自身のバックグラウンドから書籍が生まれた背景について語ってもらった。

 

NPO法人イシュープラスデザイン
筧裕介代表

 

 

 

当事者の“世界”を知る

 

 

――髙橋 最初に筧様のバッグラウンドからお伺いできたらと思います。

 広告会社の現場で仕事をしていた時は、高齢者関連の仕事をした記憶は浮かばないですね。
転機は9・11ニューヨークの同時多発テロの時。仕事でニューヨークを訪れており、自分が真下にいたんですね。その後、1週間ちょっと封鎖エリアになり、ホテルの中、軟禁状態で1週間過ごしました。広告の仕事は面白く、企業の課題解決につながりますが、より本質的で、より社会に役に立つ課題解決をしたい、という思いがその時生まれ、大きくキャリアチェンジしました。

 

 

――髙橋 2018年頃から認知症についてリサーチされていると伺いました。

 人と情報の接点を作ったり、それによって、人の行動をデザインする、という点から認知症はデザイナーにとって関係が深く、昔から非常に関心を持っていました。
買い物ができなくなる、道に迷ってしまう、記憶が混同してしまうというのは、本人の脳の中で起きていることですが、逆に言うと、外部の空間環境側に、混同とか誤解を引き起すようなものがあるから、というのが原因だと思っています。そしてそのようなデザインが世の中にあふれているからだと考えています。

 

認知症未来共創ハブという団体が、慶應義塾大学の先生を中心にスタートしていて、企画段階の時にメンバーに入れていただきました。それ以降、認知症の方とお話する機会、医師、専門家と交流する機会が増えていったという感じですね。

 

 

 

――髙橋 その中でまず当事者の方へのインタビューをしたと聞きます。

 自分1人ではなく、認知症未来共創ハブの団体の活動としての人数となりますが、インタビューした人数は1 0 0 名を超えました。

 

 

 

――髙橋 その過程の中で、どのようなことが見えてきましたか?

 インタビューを最初にしようと思った時に、そもそも認知症のある方が、どんな生活上の困りごとを抱えており、どんな症状があるのか、世界中を見渡しても、まとまっている研究、レポートなどがまったくないんです。そこが課題であり、問題意識として感じました。

 

 

――髙橋 そこからどのように「認知症世界の歩き方」につながったのでしょうか。

 そもそも、企業が変わらないといけないと思い、企業にアプローチしました。結果、反応が悪かったんですね。企業の中では、そこを市場として認識してしないのです。そこで市民の意識が変わっていくことが、大きな問題解決につながるだろうという思いで、書籍を作成しました。

 

 

 

――髙橋 出された書籍がヒットしています。「顔なし族の村」「ミステリーバス」「サッカク砂漠」など、地図があっても記号が読めなくなったり、人の顔がわからなくなるのも、納得しました。人の顔も、そもそも目や鼻や口といういわば記号のようなものであり、顔は記号の集合体のようなものですよね。「この人は○○ さんだ」と認識するのに、他者との違いとなる顔という記号が認識できなくなった、と考えると合点がいきました。読んだ方はその先どう行動してほしいと思われますか?

 今、認知症に関して、誤った理解、偏見、思い込みがこの社会を支配しているので、それをいかに変えられるか、チャレンジしているところです。そこに向けて一歩ずつ進んでいくことが、実現していきたいな、というのが大きな目標ですね。

 

 

 

 

ロボテ髙橋健一社長

東京外国語大学卒業。米国留学後、ユニリーバなどで経験を積む。父親の病をきっかけに、高齢期における社会課題の解決を志す。ベネッセスタイルケアの企画経験を経て2014年にアカリエを設立。21年に、同社の「HRモンスター」事業など分社化、robottte(ロボテ)を設立した。

 

 

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