一般市民をソーシャルワーカーに 高齢者との交流で若者は家賃半額

 

約20年後には日本の高齢化率は40%になります。こうした中で「高齢者の住む場所」が大きな問題になると思われます。現在でも高齢者が一般の賃貸住宅を借りるのは難しい状況です。高齢化率は今後しばらく上昇し続けますが、高齢者人口の絶対数は近いうちに減少に転じますから、今後も高齢者住宅をどんどん建て続けるのはビジネスとしてはあまり意味がないと考えています。

 

「ノビシロハウス」は、私が経営する介護事業所のすぐ近くにあるアパートを2004年に購入し、フルリノベーションに加えて一部新築したものです。このエリアは近くに日本大学のキャンパスがあり、元々学生向けのマンション・アパートが多くありましたが、少子化で学生数が減り、このアパートも購入時には8戸中2戸しか入居者がいない状況でした。

 

リノベーションに際しては、見守り用にセンサー類を導入したり、浴室でのヒートショックを防ぐ工夫をしたりと高齢者が住みやすいことを心がけましたが「高齢者向けの住宅をつくる」のではなく、「若者が借りるスペックの物件を高齢者も借りる」点にこだわりました。現実問題として「高齢者マンション」と謳った物件に、当の高齢者が住みたいと感じるとは思えません。

 

 

2室は若者向けの部屋としていますが、そこの入居者は①毎日、高齢者に声がけをする、②月に1回開催される「お茶会」に参加する、の2点を条件に、通常月7万円の家賃を半額としています。このことで高齢者と若者が自然な形で交流でき、高齢者が若者に料理を教えたりなどの「友達付き合い」が生まれます。こうした刺激が高齢者の健康維持につながるでしょう。また、一部の部屋は訪問診療、訪問看護の拠点として活用してもらうことで、万一の際の安心にもつなげています。

 

1階には本格的なカフェを入れました。

入居者が部屋に行くにはこのカフェの前を通る必要がある設計にしましたので、店員による自然な見守りにつながります。

 

入居高齢者にはコーヒー豆を発送するときのラベル貼りなどの仕事を手伝ってもらうこともありますし、近所の高齢者がカフェの掃除をするなど、就労の場としても機能しています。もちろん、地域の人たちが集まるコミュニティの場としての役割もあります。

本来ならば、この地域では飲食店の営業ができないのですが「高齢者の作業・就業の場」として行政からは許可をもらっています。

 

 

このように、「一般の人がソーシャルワーカー化する」ことが、結果的にその地域を守ることにつながります。私は、一人暮らしの高齢者が部屋で亡くなっていても、翌日にそれが見つかれば、孤独死ではなく尊厳死であると考えています。今後は、そうしたことが可能になる社会づくり、環境づくりが必要になるでしょう。

 

現在、様々な金融機関やメーカーから「第2、第3のノビシロハウスをつくれないか」という相談が寄せられています。その対象も高齢者だけでなく、シングルマザーや、外国人など様々です。

 

あおいけあ
加藤忠相社長

 

 

 

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