社会福祉法人海望福祉会(富山県魚津市)は、障害者の「ユニバーサル就労」やICT化の取り組みによって、全ての人が活躍できる職場環境を整えている。そのため、職員の平均勤務年数が長く、ケアの質向上へとつながっている。

 

 

施設外観

 

 

法人は特別養護老人ホームや有料老人ホームの運営など高齢者福祉事業に加えて、障害者福祉事業も展開している。特養「あんどの里」には障害者支援施設が併設されており、高齢者と障害者が日常的に交流できる環境となっている。

 

ユニバーサル就労は、障害や生活困窮などの状況にある人を雇用し、「自律」に向けて支援するもの。取り組みは2005年にスタートした。人材確保が困難になることを見据えてのことだった。これまで延べ50名がこの形態で就労している。

 

 

主な仕事内容は介護助手としてスタッフのフォローや、施設の掃除、車椅子など備品の管理など。本人の意欲や勤務時間などをヒアリングした上で業務内容を決める。

ユニバーサル就労の人が活躍してもらうためのポイントは、「業務手順を細かく洗い出すこと」であると大﨑雅子総合施設長は話す。

 

知的障害者を対象としたトイレ掃除の手順書は、「準備」「掃除」「片付け」の3段階に分かれており、それぞれがさらに細かい項目に分けている。「掃除」は、▽1.ゴミ箱のゴミを空ける▽2.便器内を洗う▽3.便器下部を拭く、など1~8まで手順が記されている。さらにそれぞれについても細かい手順を記載している。「3.便器下部を拭く」の項目はどの部分をどの順番で拭くかを①~③段階で示している。

 

こうした詳細な業務分析により、入浴や移乗などの本来専門職のみが行う負担が大きい業務の中からもユニバーサル就労の人が「できること」を切り出したことで、幅広い場面で多様な力を活用可能になった。

 

 

 

独自介護ソフト記録業務を軽減

 

11年からは職場改革をさらに推進すべくICT化に着手。システム会社と協働で、日常的な記録業務や帳票の作成、請求業務までをカバーするオリジナル介護ソフトを開発。特に課題となっていた転記の手間を無くすことを重視し、1回の入力作業で、複数の書式の必要な箇所に入力可能となっている。

 

法人のデイサービスの場合、システムの導入によってこれまで7時間を要していた記録時間が3時間に短縮。新たにレクの充実やフットケアなどの時間が生まれた。

 

 

ユニバーサル就労やICT化によって一般スタッフの業務負担が軽減された結果、平均勤続年数が8年と定着が進んでいる。人材が安定するとチーム力や組織が安定するため、介護の質の向上と働きやすい職場づくりへの先行投資が可能になる。

 

施設では睡眠センサーやリフトなどの機器の導入も進んだ。こうした機器の活用で体力的に勤務が難しかったスタッフが働き続けることができ、さらに定着が進むという好循環が生じている。

 

 

「ユニバーサル就労」で雇用されたスタッフ。施設内の清掃や備品の管理、介護助手として専門職の支援など様々な場面で活躍している。

 

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