ヘルスケアアプリの現状

 

少し前に、企業A社から「シニアの健康管理上、重要な計測項目は何か?」と尋ねられました。A社はスマートフォンで利用する自社独自のヘルスケアアプリを開発し、これまで法人従業員向けにサービス提供していました。

 

アプリで扱っているデータは独自仕様の体組成計とスマホから得られるデータの一部でした。冒頭の質問に対する私の答えは「血圧」「糖尿病」「脂質異常症」でした。

 

 

要介護になる原因の第一位が脳卒中であり、それは動脈硬化から生じます。動脈硬化を進行させる主要因は、①高血圧、②糖尿病、③脂質異常症、④肥満です。
このため、対象がシニアの場合、健康管理の目的を介護予防だとすれば、これら①から④の数値管理が必須です。

 

体組成計からは④の肥満に関するデータ(体重、BMI、体脂肪、内臓脂肪)は得られます。しかし、①から③のデータは得られません。
スマホから得られるデータは歩数データのみです。スマートウォッチと連携しても得られるデータは歩数、心拍数、血中酸素濃度などで、やはり①から③は得られません。これでは「シニアの健康管理」のためのアプリとしてあまり用をなしません。

 

 

 

血液検査の低価格化と測定精度向上が課題

 

高血圧を予防するためには毎日の血圧測定が重要です(連載第46回で説明済)。これには血圧計が必要です。現状では国内の血圧計メーカーはA社のような他社製のアプリとのデータ連携を許可していないので血圧計で測定したデータをA社のアプリに手入力する必要があります。

 

一方、糖尿病と脂質異常症の管理には血液検査が必要で、病院かクリニックに行く必要があります。血液検査も3割負担で一回4,000円程度かかります。

 

 

「ゆびさきセルフ測定室」での血液検査

 

 

 

一部薬局には「ゆびさきセルフ測定室」というサービスがあり、病院での血液検査よりも手軽な計測で、糖尿病数値である血糖値とHbA1c、血中脂質関連数値である中性脂肪、LDL(善玉)コレステロール、HDL(悪玉)コレステロールの値を測れます。ただし、現状では測定精度に課題があり、改善が求められます。

 

 

 

村田裕之氏 村田アソシエイツ代表 東北大学特任教授

87年東北大学大学院工学研究科修了。日本総合研究所等を経て02年3月村田アソシエイツ代表。06年2月より東北大学特任教授。わが国シニアビジネス分野のパイオニアで多くの民間企業の新事業開発に参画。高齢社会研究の第一人者として講演、新聞・雑誌への執筆も多数。著書に「成功するシニアビジネスの教科書」(日本経済新聞出版社)など多数。

 

 

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