「黒船の衝撃」と日経新聞

 

日本経済新聞が7日、1面トップで「アマゾン、処方薬ネット販売」「来年にも、中小薬局と連携」「来店不要 患者負担軽く」とスクープした。

 

薬局を運営して薬を販売するのではなく、既存薬局とグループを組み、在庫は持たないオンライン方式だ。大手薬局チェーンには大きな脅威となりそうで、アマゾンを「黒船」にたとえた。

同紙は翌7日にも「『アマゾン薬局』、成否は配送」「調剤業界揺さぶる」と解説し、米国でのアマゾンの調剤部門への進出過程を振り返って掘り下げた。加速するオンライン診療の一環として、今後の医療の仕組みを変えることは間違いないニュース評価だろう。

 

 

東京新聞が822日の社説で「かかりつけ医の制度化を検討すべきだ」と訴えた。日経新聞と産経新聞に続く前向きの判断だ。政府が骨太の方針で掲げた制度化問題。当の日本医師会は猛反対している。他メディアも早く見解を表明すべきだろう。

 

815日の日経新聞は夕刊で「かかりつけ医、機能してる?」「コロナ禍で綻び、見直し機運」と従来からの持論を展開した。「患者の健康管理に責任を持つ」英国の家庭医制度と日本のかかりつけ医の違いを指摘。「少なくとも高齢者については担当医を決めておく仕組みが必要」と後退した表現が気になるが。

 

 

「コロナ禍で増えた訪問診療」「面会制限を敬遠か」と報じたのは831日の東京新聞夕刊。訪問診療を手掛ける31の医療施設からの回答を筑波大の講師が分析した。対象施設は少ないが、「全国の一般的な傾向と考えられる」としている。訪問診療の拡大は、かかりつけ医の制度化につながり、評価したい。

 

同じく東京新聞の鈴木亘学習院大学教授へのインタビューも良かった。なぜ日本だけがコロナで「医療危機」が起きたのかを考えさせられる。818日と25日に掲載した。
「患者獲得で病院がライバル関係にあるので協力関係を築くのは難しい」「全病床の5%程度しかコロナ病床がないのは、医師や看護師が分散しているためだ」など具体的な指摘だ。

 

 

毎日新聞は831日に「上半期出生数38万人」「初の40万人割れ」「コロナ長期化響く」と報じた。厚労省が前日に公表した人口動態統計の数値をそのまま掲載したものだが、報じたのは同紙だけ。日経は翌日、朝日新聞は翌々日に追いかけた。

少子化は、コロナ禍で起きた将来の日本社会を揺るがす最も大きな「異変」であるはず。

 

 

 

浅川 澄一 氏
ジャーナリスト 元日本経済新聞編集委員

1971年、慶応義塾大学経済学部卒業後に、日本経済新聞社に入社。流通企業、サービス産業、ファッションビジネスなどを担当。1987年11月に「日経トレンディ」を創刊、初代編集長。1998年から編集委員。主な著書に「あなたが始めるケア付き住宅―新制度を活用したニュー介護ビジネス」(雲母書房)、「これこそ欲しい介護サービス」(日本経済新聞社)などがある。

 

 

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