住友商事(東京都千代田区)では介護事業所における職員の定着促進と事務負担軽減を図るサービスを開発しており、近く事業者向けにサービスの提供を開始する予定だ。

 

チームワーク向上 事務負担軽減も

 

同社で開発が進行しているのが、介護職のコミュニケーションプラットフォーム「kaigo FIKA」だ。これは早期離職の課題解決を図るサービスで、介護施設の若手介護士と同社が契約している外部の中堅介護士がファシリテーター役としてオンラインでコミュニケーションをとれる場を設定するもの。

 

若手は業務上で感じた「ちょっと聞いて欲しい・教えて欲しい」など、もやもやした気持ちを打ち明けることができる。こうしたコミュニケーションで、職場環境の改善、チームワークの向上につながっていく。

現状は、月1回60分の実施で月額3万円の価格を設定。ファシリテーター役の介護士には講師料として1万5000円が支払われる。

 

 

kaigo FIKAプロジェクトの発起人であるデジタルソリューション事業第一部の菅谷百合子氏は、施設によっては年3〜5人が退職し、採用コストが300〜500万円にも上り、その軽減が急務となっていると指摘する。

 

「離職理由として多いのが人間関係の悪化ですが、掘り下げると『言った・言わない』『話が伝わってない』などのコミュニケーション不足に行き着くことが厚労省などの調査で示されています」。そこで菅谷氏はスタッフ間のコミュニケーション不足を解消するソリューションの提供を着想した。

 

 

現在はSaaS によって介護士のシフト管理業務を支援するシステムも開発中だ。
このシステムではスマートフォンでシフトの確認、休日希望日の提出、残業の申請、退勤管理などをどこからでも行える。入力された情報を基にAIがシフトの仮り組みを自動で生成。微調整だけでシフトが完成する。一般的にシフト作成には40〜50時間ほどかかるが、このシステムによって作業時間が4分の1まで削減できるという。合わせて、チャット機能を搭載しており、シフト管理に関する連絡はそれを通じて行える。

 

シフトを作成する際、人がシフトを組む際には偏りが発生してしまうことも多い。AIによる最適なシフト組で偏りが軽減されることに加えて、不公平感も感じにくい。
また、誰でも使いやすいUI/UXにすることに強くこだわり、操作画面は極力シンプル化(写真参照)。使用する言葉もやさしい日本語にしている。

 

開発中のアプリ画面。直感的操作可能となるよう、極力シンプルな画面構成

 

 

現在は東京都内で高齢者施設を展開する社会福祉法人三幸福祉会などで運用。そこで34名を対象としたアンケートの調査結果では、27名が1〜5分程度でシフトが提出できたと回答。シフトを提出した場所については20名が職場以外であると回答。隙間時間でシフト提出が可能となったことが見て取れる。「『自宅で家族と相談しながらシフト申請できる点が良い』と聞いています」(菅谷氏)

 

一施設当たりの導入効果の大きい入居施設での活用を見込み、事業者にシステムの利用を提案していく方針。料金などは未定だが、導入しやすくするためにサブスク型での提供を検討しているという。

 

 

プロジェクトチームのメンバー

 

 

 

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