NPO法人ゆめみ〜る(北海道登別市)は、地域食堂を拠点に高齢者への配食や買い物支援、放課後子ども教室やフードバンクなど幅広く事業を展開。乳幼児から高齢者まで多世代が集まる地域の居場所となっている。
地域食堂で配食、子育て支援
同法人は、誰もが気軽に集える場として地域食堂を運営。80代3名、70代5名を含む12名が有償のスタッフとして従事。好評なそばは3名が日替わりで手打ちする。
昼食、夕食の配食サービスも展開し、登録者数は約60名。ごはん、おかず、汁物で1セットだが、「ごはんは自分で炊くからおかずと汁物を注文」といったことにも対応。「見守り配食の位置づけで『自分でできることは自分でする』を尊重しています」と山田正幸副理事長・事務局長。自立支援を重視している。
以前はデイサービスや医療施設(人工透析患者対象)へも提供していた。現在はコロナ禍で休止中だが、一方で個人向け配食や食堂利用は徐々に増えたという。

配食サービスの準備を進める地域食堂のスタッフ
また、買い物支援を目的とした土曜朝市も70、80代のボランティア5名程度で運営。地域食堂で取引のある農業、漁業関係者から取り寄せた野菜、果物、魚などを販売する。
利用は高齢者が多く、ほかの老人クラブの場に品物を持参する出張販売にも対応。車での送迎に対応している人も数名おり、会場には茶菓子などを出すサロンも設けて交流の場にもしている。地域食堂2階で毎週木曜日開催の高齢者サロンの参加者から買いたいものを聞き、用意することも。
そのなかで事業対象は多世代へも広がった。地域からの要望の声で、法人敷地を使って小学校低学年対象の放課後児童クラブを開始。また、校区の小学校からの要望もあって始めた高学年も含む放課後子ども教室では、学校の空き教室や法人敷地を利用し、料理教室や農業体験も行う。
「子どもと話ができて喜ぶ高齢者の姿をよく目にするようになったので、乳幼児とその親向けの子育てサロンも始めました」と山田事務局長。
さらに、ノウハウを持つ団体との出会いを機に食事提供と学習支援を行う「かえる食堂」(子ども食堂)も地域食堂を使って行うようになった。フードバンクや、一般家庭などから食材提供を受けるフードドライブも、地域の郵便局やコンビニエンスストアなどと持ち寄り拠点として提携して行っている。「基本的に母子、父子家庭が対象で登録世帯は486になります」(2022年7月現在)と木内卓理事は話す。
こうして多世代の居場所になっている地域食堂。今後は市などへ働きかけも通じて、より収益基盤を強化していきたいと山田事務局長はいう。