ロボテ(横浜市)の髙橋健一社長が、「ICT×医療×介護」をキーワードに話題の人や企業へインタビュー。前回、「認知症世界の歩き方」著者、NPO法人イシュープラスデザインの筧裕介代表に書籍制作の背景を聞いた。後半では、認知症の人が暮らしやすい社会の実現に向けた今後の活動について語ってもらった。

 

 

NPO法人イシュープラスデザイン
筧裕介代表

 

 

正しい知識、学ぶ場提供

 

――髙橋 書籍を通じ認知症当事者のことがすごく理解できました。
 書籍は1つのコンテンツの形でしかなく、今は「認知症世界の歩き方カレッジ」という学びの場を開催することにチャレンジしています。自治体で住民の方向けや、金融機関や大手スーパーなどで職員向けに、介護事業者の方々向けにもプログラムを行っています。

また一般の方向けにオンデマンド、オンラインで学んでいただく場も用意しています。書籍で学んで自分で考えるのはハードルが高いので、いろんな手段で伝えていくことをやっていきたいと思っています。

 

 

――髙橋 アプリやWEBサービスを使うことによって、認知症の方が暮らしやすい社会、周りの方の認知症の方に対する理解が深まる社会が実現できるのではないか、と思います。ITを使った社会課題解決については、どのようにお考えでしょうか。
 親しくしている、若年性アルツハイマーの丹野智文さんという方がいらっしゃいますが、スマートフォンをすごく使いこなしています。スケジュール管理、移動、服薬管理など、スマホの機能をうまく使って生活しており、それを、周りの高齢者の方に積極的に教えています。1人1台スマホを持っているという高度な社会インフラが、高齢者にも広がっていることを前提としたときに、ITで生活の困りごとを解決できるのは、すごく大きいでしょう。

 

 

――髙橋 ITを使うことで、自分自身で認知症のリスクを意識したり、周りの方が意識できたりするのではないか、と思います。介護事業所の方も、そのようなデータがあればどの方が認知症になりそうか、どのような介護サービスが必要となるのか判別でき、施設経営にもつながるのではないかと思いました。
 ご本人のデータを取る、ということについては、ご本人はとてもナーバスです。それは、本人に使われるのではなく、介護事業所や家族のために使われるからです。例えば、GPSのデータを使っての見守りがありますが、本人のためのサービスとは言い難い。あくまでもご本人の生活を支援する、という視点でやれることはたくさんあると思いますし、関心があります。

 

 

――髙橋 介護事業所の経営者の方に伝えたいことなど、ありますでしょうか?
 介護事業所の経営者でも、認知症について深く理解している方と、非常に偏見を持っている方の差が激しいと感じています。介護に関わる人々にとっての1つの教養として、認知症に関する正しい知識を持ってもらうことをなんとかできないかな、と日々思っています。認知症世界の歩き方カレッジの活動をさらに広げていくことを考えていきたいです。

 

 

――髙橋 書籍に書かれているように、当時者目線でこれまで見えていなかった景色が見えるようになった介護士が、科学的にアプローチすべきことが見えてくると、より介護の質もあがってくるのでは、と思います。これから、社会がどのように変わっていく、このように変わってほしい、という思いはございますか。
 「超高齢先進国」として、世界に誇る認知症に関するノウハウや、認知症の方が暮らしやすい社会作りやデザインなどを実践できる可能性は十分あると思います。その担い手として、介護の現場にいらっしゃる方々は、非常に大切な存在です。

 

周りには志の高い方もいらっしゃいますし、そのような方とコラボレーションしながら、新しい、より良く生きる社会作りにチャレンジしていきたい、と思っています。

 

 

 

ロボテ髙橋健一社長

東京外国語大学卒業。米国留学後、ユニリーバなどで経験を積む。父親の病をきっかけに、高齢期における社会課題の解決を志す。ベネッセスタイルケアの企画経験を経て2014年にアカリエを設立。21年に、同社の「HRモンスター」事業など分社化、robottte(ロボテ)を設立した。

 

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