一般社団法人水澤(東京都狛江市)が運営する「ケアベースこうのすけ」では、重度訪問介護および訪問介護を行う。利用者の8〜9割はALSをはじめとした難病などにより医療ケアが必要な人だという。利用者との信頼関係の構築・「アセスメント力」向上に目を向け、書類作成の見直しを行っている。
「本人のための専属ヘルパーを育てる」をポリシーとし、他事業所と連携しながら計10名の契約利用者に対し10名の登録ヘルパーが完全担当制でケアしている。
水澤弘之亮社長は「特にALSの利用者の場合は文字盤を使ったコミュニケーションも多いため、〝阿吽の呼吸〞でサポートできるよう、職員が信頼関係を構築することが何より重要」と語る。
ケアの質の向上・職員の負担軽減のための生産性向上に視点を置き、2年程前から書類作成の見直しに着手。介護記録など計11種類の書類を再検討した。「本当に必要な記録は何か、書類の目的、作成ツールを改めて見直した」(水澤社長)
例えば、これまでヘルパーは記録ソフトを使用し、サービス提供責任者などと共有する介護記録のほかに、他法人のヘルパーと情報共有するために利用者宅に置いてある連絡ノートにも手書きで記録が必要だった。そこで、自宅のノートに記載した内容や自宅の様子などを写真で撮影し、社内SNSを通じて共有。転記を省き、把握もスムーズになった。
ほか、モニタリング記録とケアマネジャーへの報告書の内容を一致させることで転記を減らす、アセスメント記録をExcelから記録ソフトへの記入に変更するなど工夫。
さらに、アセスメント力を高めるべく、介護記録の内容も再検討。4つの観点「身体的側面・心理的側面・生活的側面・環境面」から生活課題を観察・評価し、記録するルールとした。ケアマネや家族に提供する情報の質の向上、ケアへの還元につなげている。
「書類を見直したことで月約110時間の削減になった。時間の余裕が生まれたことで、事業所として地域の祭りに出店するなど、以前から取り組みたかった地域に向けた活動も行うことができている。改善を続け、新たな活動の幅も広げたい」(水澤社長)

時間が生まれたことで、地域交流活動にも着手。地元の祭りに出店した