宮城県大崎市でデイサービス「おぢゃっこ俱楽部」を運営するてづくり介護は、利用者の在宅生活継続のためにデイの空間を自宅のような環境にし、「生活リハビリ」を行っている。加えて、4月より保険外の生活援助サービスを開始した。
おぢゃっこ俱楽部は定員15名で、利用者の平均要介護度は1~2。設立は2011年。高木亨社長は当時社会福祉協議会に所属していたが、より個別性の高いケアを提供したいという思いがあり、法人設立に至った。
誰でも気軽に立ち寄り、お茶(この地域の方言で「おぢゃっこ」)を飲みながら集まった人々と世間話に興じる集い場にもなっている。
伝統的な日本家屋の造りのため、敷居や畳のヘリといった段差は多い。改修せずにあえて残している理由について高木社長は、「地域では古い家屋に住んでいる人も多くいます。デイをバリアフリーにすることがかえって利用者の機能低下になってしまうことを懸念して、そのままにしています」と話す。
デイで使用する椅子などの家具は、それぞれの利用者が自宅で使用しているものを持ち込み使用している。自宅と同じ身体、筋肉の使い方になるためそれが「生活リハビリ」になっている。デイの運営を開始して12年を経ているが、転倒事故の件数は現在まで2件に留まる。

高木亨社長
有償ボランティア 1枚で20分間派遣
新たな取り組みとして4月より、保険外の生活援助サービス「Skedy(スケディ)」を開始した。これは1枚1000円のチケットにつき20分、有償ボランティアを派遣するサービスだ。
ゴミ出し、掃除、日用品の買い出し同行、趣味の付き合いなど、様々なサポートに利用できる。有償ボランティアには料金の一部(1000円のチケットの内、500円)が支払われる。チケット制にしたことによって保険サービスとの区別が明確になっているため、利用しやすいことが特徴だ。
この活動は、地域の人と人の新たな「接点」を生み出すことにもなっており、コミュニティの再生にも寄与する。「最終的にはスケディによらずとも、同じ住民同士助け合う関係になってくれることも期待しています」(高木社長)
スケディのチケットの売上は1ヵ月10万円程度。運営の経費で利益は出ない。しかし、この事業がケアマネジャーへ事業所の認知を進めることに貢献しているという。「スケディの連絡先がおぢゃっこ俱楽部になっています。スケディの利用で普段から連絡が取れていると、ケアマネジャーが利用者を紹介しやすい関係になります」(高木社長)。
今後、スケディの活動について発信を強化。県内のほかの地域においても同様の取り組みが普及することを目指す。

デイサービス外観